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グラスルーツガーデンとの出合い 〜 世界一美味しいオレゴンの青空レストラン 1

「見てみて、こんなにたくさん収穫できたよ!」娘のミンモがたくさんの果物と野菜を大きなトレーに丁寧に並べている。「ぜんぶ持って帰っていいんだって」と幸せいっぱいの笑顔。

今から6年前、当時小学生だったミンモが友だちのエラとグラスルーツガーデンで収穫した果物はすべて有機無農薬、大粒のブラックベリー、ラズベリー、黄色のプラム、葡萄がぎっしりとトレーに並んでいる。食べてみるとどれも瑞々しくて甘い。地元のオーガニックショップで買い求めたら50ドルはするだろう。

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本当にこんなにたくさんいただいてもいいのかな? ガーデンマネージャーのメリーに確認すると、「もちろん、今日は収穫を手伝ってくれてありがとう。ぜんぶガーデンからのプレゼントよ。」なんて太っ腹!生活費を切り詰め清貧な暮らしを営む子連れママ留学生は感激した。私たち親子は初日からグラスルーツガーデンの大ファンになり、毎週末ボランティアとしてお手伝いすることになった。

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グラスルーツガーデンとはオレゴン州ユージン市にあるフードバンクが運営する市民農園だ。文字通り市民が草の根レベルで活動している。ちなみにオレゴンっ子がガーデンと言うときは、たいてい野菜や果物を育てる畑や菜園のことをさす。ここのガーデンは、幹線道路、商業施設、住宅街に隣接する2.5エーカー(約3000坪)の教会の遊休地を耕して1991年に活動が始まった。

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グラスルーツガーデンと出合ったこの日のことを今でもよく思い出す。ママ友のレベッカと彼女の娘のエラが私たちをガーデンに連れて行ってくれた日のことを。レベッカはランドスケープアーキテクチャーの修士課程で環境に優しいサステナブルな造園を研究していた。ガーデンでのボランティア歴は長く毎月開催される彼女の雑草トリビアウォークは人気だった。

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こんなことも印象に残っている。フェンス沿いにダリアの大輪の花が咲き乱れていた夏のある日、私はミンモがエラと楽しそうにダリアを摘んでいるところを目撃した。1本500円で売られている日本のダリアが脳裏を横切り、「ダリア、とっちゃダメ!」と焦って注意をした。しかし、この時もメリーが、「だいじょうぶ、ここはお花を摘むのも自由だから。ダリア専門のボランティア女性が毎年植えてくれているのよ」と、美しいダリアのブーケをお土産に持たせてくれたこともあった。ひまわりや香り豊かなハーブのブーケもよく持ち帰らせてもらい、それらは我が家に彩りと香りを添えてくれた。私はますますこのガーデンが好きになった。(続く)

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