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15回の引っ越しで悟った!ーーヤバい不動産業者を見抜く“神質問”

「また引っ越しか…」と、私が会社員時代に面倒を見ていた部下、渋谷は深いため息をついた。これで人生15回目の引っ越しだ。

彼は、不動産選びの“プロ”として社内では有名で、誰もが知る存在。周囲から頼りにされるのも、数々の失敗と経験を積み重ねてきたからだ。今日もまた、物件探しに悩むひとりの社員・川島が相談にやってきた。

「やっぱり、失敗はしたくない。どうすれば間違いない物件を選べるんだ?」と川島が詰め寄るように尋ねると、渋谷はニヤリと笑った。
「簡単さ。俺には必殺の“神質問”があるんだよ」

川島が「神質問?」と首をかしげると、渋谷は落ち着いた口調で説明を始めた。

「そうだ。『自社管理物件はありますか?』って一言、不動産屋で聞くんだ。実はな、自社で管理している物件が多いほど信頼できる不動産会社なんだ。もし自社物件がないって言われたら、その時点で俺なら一歩引くだろうな。」

「どうして自社管理物件が多いと信用できるんだ?」川島が興味津々で尋ねると、渋谷は過去の経験を語り始めた。

「ある物件に住んでたときのことさ。『駐輪場あり』って広告してたのに、実際には利用料がかかるなんて話が後から出てきた。おまけに敷金なしって言っておきながら、ペットを飼う場合は敷金が追加だと…これには参ったよ」

川島は思わず眉をひそめた。「それはひどいな…」
「そうだろ?そういう悪徳業者は『駐輪場無料』とか『敷金なし』とか、耳障りのいい言葉で釣っておいて、あとから追加料金を請求するんだ。自社管理物件が多い会社なら、そうした対応は少なくなる。大家との関係も築けてる証拠だからな」

「内見するときも、部屋ばっかりじゃなくて共用部分をしっかり見ておくんだぞ」と渋谷は付け加えた。
「共用部分?」

「そうだ。駐輪場に古い自転車が散らかってたり、ゴミ置き場が汚かったりすると、住民のマナーもお察しだし、管理が行き届いてない証拠だ。俺も前に、共用廊下に古雑誌や私物が放置されている物件に住んで、散々な目にあったからな。見た目以上に、住んでみると地獄が始まることがあるんだよ」

川島は熱心にメモを取りながら頷いた。「なるほど。他に重要なことは?」
渋谷は一呼吸置いて、核心を突くように言った。

「即決は禁物だ。同じ物件を複数の不動産屋で相見積もりしてもらえ。家賃や礼金も交渉できる場合があるからな。業者同士で競わせるんだ」

数日後、川島は渋谷の教えをもとに物件選びを始め、ある不動産屋で目星をつけた物件があった。「神質問」で自社管理物件があるかを確認し、共用スペースも念入りにチェック。さらに、他の不動産屋でも取り扱いがあると知り、相見積もりを依頼した結果、最初の条件よりも好条件で契約が成立した。

川島はさっそく渋谷に報告し、感謝の意を伝えた。「本当に助かったよ!おかげで安心して住めそうだ!」
渋谷は自信満々に頷いた。「何かあったら、すぐ相談しろよ。俺の15回の失敗がみんなのために役立つなら本望だ!」

その翌日、渋谷から川島に連絡が来た。
「悪いな、川島。来月また引っ越すことにしたわ。」

「えっ、またか?何で?」と驚く川島に、渋谷は少し照れくさそうに言った。
「なかなか完璧な物件ってのは、そう簡単に見つからないもんだな!」

渋谷の“引っ越し15回の教訓”は、川島にとっても大いなる謎として残ったのだった。

私のテーマは「50代で得たリアルな人生ストーリ」を1日1話発信。ビジネスや人生に役立つヒントや気づきをお届けします。迷いや悩みが生まれた時は、一緒に地図を広げ、進むべき道を探していきましょう!
@morizo_23

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