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【読書めも】運命の恋をかなえるスタンダール

ちょっと軽めの一冊をと。
恋愛系の本は学ぶことが多い。苦手領域だから学ぶ余地がある?これを分析しようとしてるから苦手なんだって?
もうちょっとこっちの分野で広げてみるのもありかもなあ。
この本は一瞬で読めてしまうけど面白い。

※後半にまとめも

感想

読みながらふと思ったのは恋愛の本ってビジネスにも、スポーツとか、その他の諸々にも色々と生きるなあと思ったのだけど、なんでかなと。
これはつまり恋愛というのが人間のことを考える本だからではないか?
世の中の問題の殆どは人間関係に帰着する。
その中でも恋愛というのは特にわかりやすい場面だなという気がする。ビジネスとかスポーツでは人間関係以外の変数が含まれすぎてしまうし、友情みたいなものだとそこまで本気で向き合わないでも済んでしまう。
だからこそ恋愛の分野はまとまりやすいし、わかりやすいのかなあと。
ただテクニック論的な話が多いので抽象度を高くして見ないと何となく学んだ気になってしまうが。

本書で特に心に残ったのはオシャレをしたくない女性が生まれるという場面。
主人公は洋服にもメイクにも気を使わない。
「それは、なぜだ?」と問われた時に「めんどくさい」と。
小学校なのか、人生の何処かのタイミングで「たまたま可愛いと周りに認識された子」はそこでおしゃれに気を使うようになり、そうでない子との差は益々開く。あるときにそうでなかった子がお洒落をしようと思ったタイミングでは開きすぎた差は埋めることが難しいほとになってきている。
急にオシャレを始めたら笑われるんじゃないかなという気持ちが自分にストッパーをかける。

思い返せば自分にも似たような経験はあるなあと。
小学校の4年生からずっとかなり度の強い眼鏡をかけていて、自分に見た目で自信がなかった。オシャレな子達のグループにも入っておらずオシャレみたいなところからは少し離れたところにいた。別にいじめられたり、集団から疎遠にされたこともないけど、だんだんとお洒落をする人との差は離れていった気がする。
大学の陸上部で運動に邪魔だからと初めてメガネ→コンタクトにした時に最初は死ぬほど緊張したのを覚えている。洋服に気を遣ったのも社会人になって必要が生じてから。要はきっかけなのかなと。
別に人間は誰も変わらないと思うけど小さい時に受けた小さなきっかけで大きく変わっていくのではないかなと。こういう教育的な面って怖いと同時に興味関心がある面白い分野だなとおもったりする。

まとめ

恋は甘い花のようなものだ。しかしその花を摘むには、恐ろしい断崖絶壁の縁まで行かねばならない

ある日、突然スタンダールの「恋愛論」の中から現れたスタンダールと恋愛相談をする聡子。
聡子は父親の一見以来恋には奥手になり自分への自身も完全に喪失している状態だった。

この本で一番のキーワードになっているのは「結晶作用」だ。

結晶作用

結晶作用とは?
例えば自分の彼女が絶対的基準で美人度が2、そこに現れた女性が美人度3だとしよう。
そうした時に自分の彼女のほうが美しく見えるということは往々にしてある。たとえば自分の彼女の顔には消せない傷があるかも知れないがその傷ごと愛おしいと思ってしまう。
これが結晶作用だ。日本語では「あばたもえくぼ」という言葉もあるように、自分が一度好きになるとその人のいいところばかりが見えてくるようになる。

結晶作用を高めるためには?

本書でスタンダールが最初に聡子に与えた課題は「明日までに自分の外見で魅力的なところを100個あげよ」というもの。
最初このお題を与えられた聡子はスタンダールにバカにされていると思う(みなさんも急にこのお題を出されたらどう思うだろうか?)
でも実際にやってみると意外と上がる。いいところを探そうと思って探せば意外と見つかるものだ。(※これはまさに以前のエントリにも書いているRASの話)
まつげが人よりもながい、おでこは卵型で、体系もスマートなど。

この時にスタンダールがやっていたのは聡子に自信をもたせるということ。
他者は人が自分に対してどれだけ自信を持っているかを敏感に感じ取る生き物。だからこそ自分に自信を持っていることが結晶作用を起こさせるために大前提大事なこと。そのために自分の魅力を探すということをさせていたのだ。

ファム・ファタル

結晶作用を高めるためには「その人の周りの人からの評判が高いことが重要」
そのためにはファム・ファタル(悪女)の期待と不安のコミュニケーションを取ることが重要。
告白されてすぐに喜ぶことは相手の気持を冷めさせる。
八百屋でトマトを買う。めっちゃ良いトマト。でも買った瞬間に「おっしゃー!このトマト売れたー」と喜んだら?
「本当は買う価値無かったのでは?」と思う。
だから「すみません、そのトマトは予約が入っていて。パプリカどうですか?」と言われたら。交渉の末トマトを手に入れたら?
悪女は「この女は手に入りそう」と期待させながらも「手に入らないかも」と不安にさせて虜にして行く存在。


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