言ったほうは忘れている話
「森さんは調味料で言うとバターだね」
数年前、ある飲み会でそう言われた。なにかの流れで「このメンツを調味料に例えるとなにか」というテーマになり、飲み会参加者ひとりひとりについて皆が品評を重ねていた。そしてわたしのターンとなったとき、ひとりの女性が言ったのが冒頭のセリフだ。「森さんがいると場がまろやかになるっていうか、ぜんぜん違う味同士が混じりやすくなるんだよね」とのことだった。他の参加者も納得し、それじゃあ次とばかりに誰かのターンに移った。
彼女はたぶん、それを言ったのを