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料理コラム第3回 好き嫌いは遺伝で決まるのか?

子供の頃はピーマンやブロッコリーが嫌いだったのに、大人になったら食べれるようになった。
このような経験は、誰でもするであろう。

一方で、大人になっても嫌いな食べ物があり、それは人によってそれぞれ違う。このような好き嫌いがなぜ生じるのか?

まず、子供の頃に嫌いだったものが大人になって食べられるようになった場合だが、子供と大人で感じる味の閾値が違う。
子供は舌の層が大人と比べ薄いため、辛いものを食べた時、より辛く感じる傾向がある。
そして、味蕾(みらい)の数も成長により減少する。
さらに、子どもと大人では、甘味を感じる受容体が違う。
大人は、2種類の味覚受容体遺伝子によって決まる。
子どもは、大人の2種類の味覚受容体遺伝子に関係なく、苦味受容体遺伝子によって決まる。

これらのことから、子供は大人に比べ味に敏感なのである。
苦いものや辛いものは、味としては毒のシグナルのため、それを避けようとして本能的に嫌いな食べ物となる。

しかしここで疑問が発生する。
同じ子供でも、ブロッコリーが食べられる子もいれば、全く食べられない子もいる。
実は、遺伝的に苦味を強く感じるというものがある。
日本人では70%程存在し、特に敏感な人は5~10%も存在する。
苦味以外にも、パクチーを食べた時に、遺伝的に受け付けない人は10%存在する。

このように、そもそも同じ食べ物を食べても、人によって同じ味を感じていないのである。

では、全ての好き嫌いは遺伝で決まるのか?っという話だが、そうではない。
一卵性双生児を使った実験で好き嫌いを調べたところ、甘味や酸味のような基本味、ピーマンやタマネギ、ニンジンなどについては明らかに遺伝の影響があった。
しかし、肉料理のような複合的な料理や痛覚をベースとする辛味については、生得的な因子の効果は認められなかった。
つまり、このような味に対する嗜好性は、後天的に獲得(学習)するものであり、生後の環境によって決まっていく。

何度か食べることで、その食物は安全と理解して好きになっていくというものがある。
日本語でも「食わず嫌い」と表現するが、まずは食べてみないと好きには慣れないのである。

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