見出し画像

料理科学 「なぜ料理を失敗するのか?」

割引あり

料理が失敗するパターンを知る

料理の失敗と聞いて、何を思い浮かべるか?
よく、漫画では料理の失敗をフライパンから火が上がるように表現する。
実際に、油を使った料理を高温で加熱し続けない限りフライパンから火が上がることはない。
どちらかと言えば、この漫画表現は料理が「焦げた」ことを意味するのだろう。

さて、料理の失敗(調理過程での失敗)を考えてみると
●食材が硬すぎる(柔らかすぎる)
●味が濃すぎる(塩辛すぎる)
●生臭い
●焦げた
●見た目が悪い(まずそうに見える)
などがある。

この他にも、調理過程以外の失敗では
●食べる人のアレルギーがある食品を使う
●葬儀に赤飯を出す(文化的に間違っている)
●食中毒の可能性がある(加熱不足、食材の腐敗)
●異物混入(貝が砂を噛んでいる)
●食べる人が嫌いな味
などがある。

今回は「食材が硬すぎる」について解説する。

食材が硬すぎる(柔らかすぎる)

おいしさの要因を決める配分

円グラフを見てもらって分かるように、料理を美味しいかどうかを判断する場合、食感(硬さや柔らかさ)が6割を占める。
一方で、味や香りなどは4割となっている。

もちろんこれは、料理によってある程度配分が変わる。
下のグラフを見ていただきたい。

科学的なおいしさ(味・香り・風味など)
物理的なおいしさ(食感)
その他(食文化など)

おいしさの科学がよ~くわかる本 p91のグラフより

直感的にわかると思うが液体に近づくほど食感よりも味や香りが重視される傾向がある。
とはいえ、やはり平均的に料理のおいしさの6割は食感で判断されている

日本は世界で一番、食感の語彙(ごい)が多い国である。
「パリパリ」や「なめらか」、「ジューシー」など、合計406個存在する
オーストラリアでは105個、アメリカでは78個となっている。
日本で最も使用頻度が高い用語は「硬い」となっており、欧米で最も使用頻度が高い用語は「サクっとした(crisp)」となっている。
つまり、多くの国で重視される食感は「硬さ」と考えられる。

実は世界共通で好まれる食感として「サクサク」があげられる。
この食感が好かれる理由としては「自然界では果物などの鮮度を測る指標」として機能していたという説がある。
つまり、果物などがドロドロの物は腐っているとされ、サクサクしているものは鮮度が良いと判断されてきたのである。

日本の商品のキャッチコピーを思い出してほしいのだが
「サクサク」「ふんわり」「ジューシー」「ドロッ」「パリパリ」
など、食感についての言葉が多い
一方で、「辛い」や「甘い」など、味に対する表現はそこまで多くない。
つまり、普段意識していないだけで、味と同じぐらい食感も重要だとここでは覚えておいてほしい。

ここから先は

1,936字

専門書などは一冊数万円とかするので、サポートしていただいたお金で購入して更なる質の良い記事を書いていきます!! 一緒に勉強頑張りましょう!