人生、転職やり直しゲーム 第1章

【再び、死刑台】



「悪い!日にちを間違えた!」



俺は、刑務官に首に縄をかけられて、

時間が止まった、

死刑の時間に戻った。



「あれ、戻ってきた」



「ええと、幸恵が出ていった日にちだったよな。

間違えて、老夫婦殺した日に戻しちゃった。

悪い悪い」



「ふざけんじゃねぇ!」



「お前だって、沢山間違えただろう。

自分に甘く、人に厳しいんだな。

上司にしたくないタイプだな。

それとも、

時間を戻すのを辞めて、

このまま首を吊られた方がいいか?」



「分かったよ。

ちゃんと、幸恵が出ていった日に戻してくれよ。

それと、1つ聞いていいか?」



「なんだ?」



「さっき、俺は、刑務所に入る事も、

お前に時間を戻して貰ったことも、

記憶に無かったんだ

ただ、目の前の年寄りが憎かった」



「老夫婦を殺した日に戻ったから、

お前の記憶は、老夫婦を殺す以前の記憶しかないんだ。

刑務所に入って、死刑になるのは、

殺人後の未来の出来事になるからな」



「現在の記憶が無くなるのか!

それじゃあ、

どうやって、

やり直せばいいか分からないじゃないか!」



「現在の記憶を持って過去に遡る技術は、

まだ、発明されていないんだよ

頑張って、お前なりに考えて、正しい道を選択してくれ」



「無理だよ」



「じゃあ、このまま死刑になるか」



「待ってくれ!やっぱり、やり直したい!」



「じゃあ、幸恵が出ていった日で契約成立な。

なんか、聞きたいことはあるか?」



「信用出来ない死神だな。

他に後出し情報とかは無いよな?」



「さぁな。

後出し情報はお前の得意技だよな。

俺も、お前と同じように、

忘れっぽいからなぁ。

どうだろうなぁ。

ま、試行錯誤して頑張ってくれ」



「ふざけんじゃねぇ!」



「俺にそんな口叩ける立場か!

それとも、このまま、首を吊られるか?」



「糞、分かったよ。

なんとか頑張ってみるから、

幸恵が出ていった日に時間を戻してくれ」



「よし。

俺の目を見ろ」



「次にお前が俺と会うときまで、

お前はよく考えて行動してくれ

お前が満足出来る人生になるといいな」



また、死神の目に吸い込まれそうになった。

肩を叩かれて、

俺は意識を失った。


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