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ジャパニーズ シティポップの波が息子にもやって来た

「ねぇお母さん、これ知ってる?」
ある日、学校から帰るなり息子が歌い出した。

To you... yes my love to you
Yes my love to you you, to you
ワタシワぁワタシ、アナタワぁアナタトぉ
フフンいってたソンナきもスルワぁ

GrayのJacketにフフンフンがあるCoffeeのシミ~
フフンフンフンなのねぇ
Shop windowにふたりフフンフンフン

Stay with me
マヨッナカのDoorヲたたっきぃ~


・・・・・。
んん?
なに歌ってるのかさっぱり分かんないんだけど…(苦笑)。
日本語がおぼつかない所は鼻歌で誤魔化す息子…。
そのくせやたら英語の部分だけ発音が良い息子。

「ミキ マツバラだよ?Stay with meって歌知ってる?」
「はぁ?ミキ マツバラって…?え?松原みきのこと?…真夜中のドアのこと?」
「そう、その人!Stay with meっていいよねぇ~」と、また歌い出す息子。



息子よ…君にはあんまり歌の才能はないかもしれん…。音…いや、やめておこう。本人が気持ち良く歌っているならそれでいい…。でもおかしいな、お母さんもお父さんもバンド組んだり音楽活動してた事もあるからそんなに音○じゃない筈なんだけどな。誰に似たんだろうか…。

「ミキ マツバラってもう死んじゃったんでしょ?」と言う息子。
「え!?亡くなってるの?うそ!」「Wikipediaで調べてよ」

調べた。お亡くなりになっていた…しかも40代と若くして(合掌)。松原みきさんの歌は当時もそこまで知らなかった。まさか息子に教えられるとは。


かつて1970~80年代の日本で流行したシティポップ。
それがなぜか数年前から世界的に注目を浴びているらしい、ということは聞いていた。
しかしまさかここにきて、息子12歳 海外生まれ育ちで日本に住んだことは一度もない男子へ、日本のシティポップの波がやって来るとは(笑)。

じゃあこれ知ってる?と、竹内まりやさんの「Plastic Love」を聞かせてみる。


ああ、今聞いても洗練されたアレンジが光るアーバンポップだわ。まりやさんの声は今も変わらない。
また新しいMVまで制作されるとは、注目度の高さが伺える。コメントも海外の方々からの方が多いくらいだ。
なかなかいいね!と息子も言う。ちょっと君、竹内まりやさんの良さが分かるのか?この歌詞の意味わかってるか?
MVの下に英語字幕出てるから分かる、と言う息子。あ、そう。

すると今度は、「ねぇお母さん、Flyday Chinatownって知ってる?」と言う。
は?泰葉も知ってんの?ちょっとなんだ、けっこうマニアックなのか君は?
今人気あるんだよ、とまた歌いだす息子。
……泰葉は難易度高いぞ、息子よ。
泰葉さん、このまま歌い続けてほしいな。お騒がせと言われても彼女の音楽の才能は本物だ。



私も調子にのって、八神純子「みずいろの雨」、渡辺真知子 「迷い道」、ジュディオング「魅せられて」など懐かしの歌謡曲も次々と聞かせてみたが、それらはそんなにお気に召さなかったようだ。

やっぱりシティポップ一択ですか。

じゃタツロウ ヤマシタはどう?
お母さんはねタツローが大好きだったのよぉ。まりやのハズバンドっていうか、まりやがタツローのワイフなんだけどね。
シュガーベイブも好きだったな。アルバムがまだ手元に…探したらあった!
30周年記念スペシャルエディションやアナログ盤なんてものもあるのね。
アルバムは1枚しか出してないけど、シュガーベイブの功績は大きい。



じゃあじゃあ、最後に切り札のユーミンを聞かせてみる。
「中央フリーウェイ」は日本のフリー・ソウルなんだよなぁ。Leroy Hutson/リロイ・ハトソンとか思い出す。
バックをキャラメル・ママ(細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆)というセッション集団が全面サポートしていただけあり、グルーヴ感も素晴らしい。
それにしてもユーミンは相変わらずスタイルが良いな。


ちなみにこちらは同時代に人気のあったLeroy Hutsonの「All Because of You」。リアルタイムではないけど20代始めくらいによく聴いてた。アルバムもまだ持ってる。



あああ、懐かしい~懐かしい~。母の方が楽しくなって来た。
まさか息子と一緒にシティポップを聴く日が来るとはなぁ。

だけどやっぱり一周回って最後はブラックミュージックに戻って来るのだ。
もうこれはしょうがない。子供の時に父親から骨の髄まで沁みこまされた感じだから。そして私も息子へ同じことをしたのかもしれない。
息子がお腹にいた時は胎教に毎日70年代ソウルミュージックを聴いてた。
そのせいか息子がまだ小さかった時はジャクソン5をかけると踊りだし、その後はヒップホップが好きになったものの、自作ラップはお経を唱えてるようにしか聞こえない、息子…(汗)。

でも日本の歌にはまったく興味がなかった息子がシティッポップとはなぁ。
そうきたかぁ。
不思議だ。息子の中にある日本人のDNAが目覚めたのか。
これをきっかけにもっと日本語にも興味を持ってくれると嬉しいんだけどな。




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