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夏至祭の前夜は

この国では6月最終週の土曜は、夏至祭だ。
その前夜である明後日金曜の晩には、海や湖の畔などの水辺で、大きなかがり火が焚かれる。
これは長い冬の間待ちに待った短い夏の到来を祝うため、または夏至を過ぎると夜が少しづつ長くなってゆくため悪魔が徘徊するのを追い払うなどと言われているが、まだこの国にキリスト教が広まる前からある伝統的な儀式で、クリスマスと同じくらい重要な日なので田舎へ帰省して過ごす民も多く、ちょっと日本のお盆にも似ている。





昔ながらの素朴な夏至祭の飾り

花冠を被る女性

白樺の葉で作られた夏至祭のメイポール


夜といっても今の時期は白夜のため明るく(北部は全く暗くならないため)真夜中0時近くになってからやっと、かかり火が点火される事も多い。
それまでの時間は、ダンスを踊ったりお酒を飲んで大騒ぎする民も沢山いる。
この日は頭に自分で編んだ花冠をのせ民族衣装を着た女性の姿も見られ、民族衣装は各地方ごとに少しづつ違ってるため、見る人が見ればどこの地方の出身か分かるそうだ。


出身地によって
民族衣装のストライプの色も違う


フォークダンスをする人々
年配の人ほど踊りが上手


今までの経験からすると夏至祭の前夜は天気が崩れることも多く、昼間は晴れ渡っていても夜中はどしゃぶりになったり、空気が乾燥し過ぎている時には火事になる恐れがあり、かがり火は中止になる年もある。
だから毎年かがり火を見られるわけではないので、とりわけ真夜中の白んだ空に燃え上がる大きな炎を見る瞬間は、夏のエネルギーが感じられ、開放感と共に心が静まってゆくようだ。


組んであるやぐらに点火する




こちらは数年前に訪れた時の
夫の実家がある北極圏の町のかがり火
これで午前1時
北極圏は完全な白夜のため
1日中太陽は沈まない



夏至祭の前夜には魔法の力が宿るとされ、昔から伝わる様々なおまじないもある。

  • 7種類(数は諸説ある)の野花を摘んで枕の下に置いて眠ると、夢の中に将来のパートナーが現れる

  • 露に濡れた草原を裸で転がると縁結びのご利益がある

  • 合わせ鏡を覗くと、もう一方の鏡に婚約者または花嫁の姿が映る

  • 裸で井戸、泉、池を覗くと未来の結婚相手が見える

  • かがり火を燃やした後、女性はそっとジャンプして煙の上に残り火を上げると恋のチャンスがやってくる

などなど、今でも信じて実行している人もいて、夏至祭の前夜には神秘的なパワーが昂まるのだろうか。
なぜか裸で行うおまじないも多いのは、やはりサウナ文化の影響なのか(笑)
この日はもちろんサウナに入り身を清める。



天気予報では金曜は曇りのち晴れ、気温もこのところの最高気温(と言っても26度位)になりそうだけど、果たして夜も晴れるだろうか。
今年は家の近くの島から、対岸にある島の海辺で焚かれるかがり火を見ようかと思っている。








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森野 しゑに
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