マガジン一覧

三浦春馬の世界

三浦春馬くんの出演したドラマ・映画、舞台、歌、彼を偲び想いを綴っています。月命日に似顔絵を季節の花と共に描いています。

沈丁花をあなたに

沈丁花は、夏の梔子、秋の金木犀と共に、三大香木の一つに数えられるそうだ。 その香りは “千里香”と呼ばれるほど、遠くまで届くという 春を告げる沈丁花の上品な甘い香りは 匂い立つような男性の色香さえイメージさせ 香りは、記憶の糸を手繰り寄せるように その人の、在りし日の佇まいを蘇らせる 春馬くんを想う時 優しく穏やかなイメージが浮かぶけれど 胸の奥深くには 燃え盛る炎のような激しさを秘め その人生を駆け抜けたのではないかーー ライターの木俣冬さんが 記事の中で綴ってい

白梅をあなたに

白梅の、額にあたる部分の紅色は、花びらの清らかな白さをいっそう引き立てる。 梅暦という言葉は ”梅が咲いたのを見て春を知る” という意味らしく、梅は早春に咲く花だ。 子供の頃、春先になると、庭から手折って来た一枝の梅が、窓辺に生けてあったことを思い出す。 朝、ひんやりと冷たい空気の中に、甘く清々しい、馥郁たる白梅の香りが漂い、何度も鼻をひくつかせ、その匂いを胸いっぱいに吸い込んだものだ。 散りぬとも香をだに残せ梅の花恋しき時の思ひ出にせむ - 古今和歌集 - 春馬くん

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アマリリスをあなたに

花屋の店先で、クリスマスの花はどんなものがあるだろう、と眺めていた時に、ポインセチアやヒヤシンス(こちらの国ではクリスマスに鉢植えを飾る)の他に、アマリリスが目に止まった。 真紅、白に赤のストライプ、サーモンピンク、太く真っ直ぐな茎の上に、大きめの花を咲かせるアマリリスは、華やぎを感じさせる。 アマリリスはギリシャ語で「輝かしい」といった意味があるそうで、花言葉の「輝くばかりの美しさ」はそこから来ているらしい。 ファンの悲願であった『世界はほしいモノにあふれてる』1st

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千日紅をあなたに

千日紅は、百日紅よりも長く咲きつづけ、ドライフラワーにしても花の色が褪せることがないことから、この名前がついたという。 丸い花に見えている部分は、実は葉っぱの一部が変化したものらしく、花の写真を拡大してみると、たしかに丸の中のところどころに小さな花が覗いている。 薄桃、マゼンダ、薄紫 千日紅には、思いのほか沢山の色がある 中でも、白い千日紅は 淡雪のようにも見える そのどれもが いつまでも色褪せることのない あなたの存在へと繋がってゆく気がする あなたは生まれ変わっ

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てのひらの物語

物語を綴るように、体験を通したエッセイ。

東京タワーは夜の8時

昔、東京タワーの近くで働いていたことがあった。 いや、近くなんてもんじゃなく、オフィスは東京タワーにほぼ隣接していると言っていいほど至近距離にあるビルに入っていた。 そんなわけで、退社時は、ライトアップされた東京タワーの巨大な脚元を通り抜ける毎日だった。イメージとしては、どんなに見上げてもウルトラマンの巨大な足元しか見ることが出来ない、小さき人類のような気持ちだった。 東京タワーの全体像は、最寄りの神谷町駅方面へだいぶ歩いてからじゃないと見ることができなかった。 会社の入っ

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晩秋の栗と山の家

今、日本は栗の季節で、このnoteの記事やSNSでも栗ご飯や栗スウィーツの話題、写真が満載だ。 栗を食べる習慣もなく、栗の木も育たない国に暮らす私は、それらが羨ましく、ただ指を咥えて見ている(悲) 栗というと思い出す情景がある。 まだ息子が1歳を迎えたばかりの幼児の頃、久々の一時帰国を父の山の家で過ごした、日本での記憶だ。 街の中心部から1時間ほど車を走らせ、曲がりくねった山道をぐんぐん登ってゆくと、深い谷に囲まれた山奥の僅かに開かれた土地に、その古民家はあった。 打ち捨

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水の揺蕩い

魚座なだけに、私は水辺が好きだ。 海辺、湖畔、川べり、池、沼、とにかく水の側に居ると落ち着く。 きらきら陽の光を反射し、揺蕩いながら様々な表情を見せる水の波紋を見つめていると、吸い込まれそうになる。 いつまででも眺めていられる。 セイレーンというギリシャ神話に登場する人魚が岩礁に座り、美しい歌声で船乗りたちを惑わせ、荒海に誘いこみ船を難破させる、という伝説もあるが、水辺にはそんな魔性の魅力も潜んでいそうな気もする。 こちらの国の海は、だいぶ日本とは様子が異なる。 内海だ

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めぐり逢い

朝ときどき散歩に行く小さな島で、よく出会う老夫婦がいる。 いつも海が見渡せるベンチに並んで座り、家から持参したポットから熱い珈琲を代わる代わるカップに注いで、手さげ袋からこれまた持ってきたシナモンロールを取り出し、その間とくに話すでもなく、まさに阿吽の呼吸という感じでお茶しながら、二人は黙って長いこと海を眺めている。 見かけるたびに、ああ、いい夫婦だなぁ、と思う。 私は結婚願望の薄い人間だったが、80〜90年代に流れていたチャーミーグリーンのCMに出てくる、手を繋いでス

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世界の片隅でつぶやく

日常のつぶやき

ウイルスに、やられまして

先週は仕事を休み、病に伏せっておりました。 コメントも沢山いただき、ご心配おかけしました。 ことの発端は先々週の金曜日、なんだか喉の調子がおかしい…イガイガするな、と思っていたら、翌日土曜日の夜中、悪寒で目覚め、そこからはあっという間に熱が急上昇。 日曜日には39.4度まで爆上がり。体温計の方が壊れてるのかと、二度見してしまいました(苦笑) 私は風邪をひいても滅多に熱は出ない方。自分史上、最高値を記録しました(苦笑) この熱の出方も変わっていて、おでこに手を当ててもヒンヤリ

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クリスマス、宿り木を飾って

最近の私はというと、インターンシップも始まり、更にヘトヘトな毎日。 そんなある日の帰り道、ふと立ち寄った店でヤドリギを発見した。 ヤドリギ(宿り木)は、他の木に寄生して水や養分をもらい成長する。宿主の木の上部に鳥の巣のような形で寄生している、なんとも不思議な植物なのだけど、欧米ではクリスマスにスワッグなどにして飾る国もあり、"永遠" を象徴することから 「ヤドリギの下でキスをしたカップルは幸せになれる」 とか「ヤドリギの下にいる若い女性はキスを拒むことができない」などとも言

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インデペンデンス・デイ

今日、こちらの国は独立記念日。 107年前に、隣国ロシアから独立した。まだまだ若い国だ。 小国であるこの国は、それ以前も長い間、もう一つの隣国であり今では兄弟国ともいえるスウェーデンに属していた。 第二次世界大戦では、ソ連の侵攻に遭い、2度も戦い敗戦するも独立を守り抜いた。 そんなことからも今日は、隣国に翻弄され続けて来たこの国の、苦難の歴史に想いを馳せる日でもある。 この国には "Sisu" という言葉がある。 それは、この国の精神や魂を表す言葉であり、強い意志、困難や

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大人の学校

先月から10年ぶりくらいに学校へ通っている。 思い返せば私は、10代、20代は元より30代でもデジタル・デザインの学校に入り直したり、この国へ移住後の40代でも語学学校、起業のためのコースなど、ほぼ10年おきに学校へ通っていることになる。 べつに学校が特別好きというわけではないが、必要に駆られてだった。 パンデミック以来、これまでの仕事が厳しい局面に入っていることもあり、私は今、とある資格を取るために学んでいる。 まさか50にして、また学校に入ることになろうとは… 今通っ

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食いしん坊雑記

美味しかったもの、作ったもの、好物、食に纏わること

2月に食べる、季節のお菓子

こちらの国では、日本のような季節を感じさせるお菓子というのは、ほとんどないのだけれど、2月だけはハッキリとこの時期に食べるお菓子というのが、2つある。 ラスキアイスプッラ 1つめは、2月のざんげ節を祝うためのお菓子、Laskiaispulla。 お隣スウェーデンでは "セムラ" と呼ばれている。 ここ数年、セムラの日本での認知度が上がっているので、こちらの名前で知っている方もいるかもしれない。ラスキアイスプッラも隣国から伝わったので、基本的には同じお菓子だ。 ラスキアイス

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大晦日に、おせちを食べるって本当ですか?

新年、明けましておめでとうございます。 朝起きたら、窓の外は真っ白な雪景色。 除雪車の音で目が覚めた。元旦の早朝から除雪してくれる方には頭が下がる。 今冬はかなり暖冬かと思っていたら、やはりそうはいかないらしい。年明けから急激に寒くなる模様。 今年は、年明けから夫と息子だけラップランドへ帰省。 私は仕事があるため留守番(悲) 当初はクリスマスに帰省する予定だったけど、その前の週に風邪をひいてしまい、このまま北極圏に行ったらもっと悪化して持病の咳喘息も出てきそう…ということ

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夏の終わりのサイダーゼリー

すでに、こちらの国では初秋の気配が漂い始めた。 夏は、日本の猛烈な暑さと比べたら気温もそれほど高くならず、25度前後くらい。湿気も少なく爽やかで過ごしやすいのだけど、夏の終わりから秋の始まりの季節の変わり目は、やっぱり少し体がダルくなり疲れ気味になる。 そんな時、シュワシュワの炭酸を飲むと体がリフレッシュするような気がする。 この国の水は日本と同じく軟水で水道水をそのまま飲めるが、スーパーなどで飲料水として売られているのは炭酸水が多い。 日頃から食事の時などにも炭酸水を飲むの

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手前味噌への道

私はほぼ毎年、味噌を仕込んでいる。 こう聞くと、いかにも私がマメな人間で、やっぱり味噌は手作りの方がだんぜん美味しいものね、と思った方もいるだろう。 ところが私の味噌は…家族の誰からも喜んでもらえない… なぜか? これまでの味噌は、毎回蓋を開けた瞬間から なんじゃこりゃぁあっ!!!by 松田優作(太陽にほえろ ジーパン刑事殉職シーン風に) 思わず自分でも叫んでしまうような、不穏な代物が出来上がっていた。 色はドス黒く、ボソボソだし、潰しきれなかった大豆が粒餡みたい

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好きなもの図鑑

アート、デザイン、好きなものたちについて熱く語っています。

着物、よきもの 〜其の二

かつて私は、アンティーク着物にハマっていた。 本記事は、以前他のブログに書いたものも再編集し書き足し、記録としてアンティーク着物についてまとめ直したもので、前回からの続きです。 其の一はこちらから 帯留には物語がある 着物と帯をコーディネートする時に、柄を何かに見立てたり、小物をお揃いにしたりもする。 帯留も、着こなしのアクセントに一役買ってくれる。 現代では、着物を着る時に帯留は付けないという人がほとんどだと思う。なくても全く問題ないのだけど、私は帯留が大好き。

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着物、よきもの 〜其の一

かつて私は、アンティーク着物にハマっていた。 思い返せば、うちの母も着物が好きだった。 おぼろげな記憶しかないが、母は私が3歳頃までは家でも着物を着ていた。 しかし、2歳違いの妹が生まれると幼い子供二人抱えて着物で暮らすのは流石に厳しかったらしく、普段は洋服を着るようになったが、入学・卒業式、結婚式、お正月などお目出度い席ではいつも着物姿だった。 そんな母も晩年は、着付けをすると疲れる、しんどいと言って、ほとんど着物を着なくなり、亡くなった後に沢山の着物が残されたが私は全然

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「GOTHIC MODERN ゴシック・モダン」〜師走の美術館へ走る

何かと慌ただしい年の暮れ、美術館へ行かねば!と私は焦っていた。 なぜなら、国内360の美術館での展示が1年間見放題というミュージアム・カードの期限が差し迫っていたからだ。 今年後半は環境がガラリと変わり、毎日疲労困憊で全く美術館に行けないままだったので、冬休みに入ったこともあり、期限ギリギリまで使わにゃ損!損!という意地汚さから、美術館のはしごをすることにした。 まず向かったのは、日本でもムーミンの作者として人気があるTove Jansson(トゥヴェ・ヤンソン)の展示。

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クリスマス、宿り木を飾って

最近の私はというと、インターンシップも始まり、更にヘトヘトな毎日。 そんなある日の帰り道、ふと立ち寄った店でヤドリギを発見した。 ヤドリギ(宿り木)は、他の木に寄生して水や養分をもらい成長する。宿主の木の上部に鳥の巣のような形で寄生している、なんとも不思議な植物なのだけど、欧米ではクリスマスにスワッグなどにして飾る国もあり、"永遠" を象徴することから 「ヤドリギの下でキスをしたカップルは幸せになれる」 とか「ヤドリギの下にいる若い女性はキスを拒むことができない」などとも言

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