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台湾ひとり旅の女、善人目指す。


▷台湾旅行で善き人に生まれ変わろうとした。

むかし、ひとりで台湾を旅行したとき、
高尾にある有名な観光スポット、
蓮池潭をたずねたことがあるんですね。



大きな池の周囲には

日本人のわたしから見ると風変りな塔がいくつも建っていて
その内部から上へ登れるようになっていた。

そのなかでも印象的だったのが、
ひときわド派手で目立つ『龍虎塔』という巨大な龍と虎の塔。
それは、龍の口からはいり、虎の口からでてくると
『にんげんの邪念を取り払ってくれ、善き人になれる』とういう言い伝えがあるそう。



わたしは意気込んで、龍の口に飛び込んだ。


内部は、
中国の昔話の壁画、孝行息子のものがたり『二十四孝子』
悪人が地獄で受ける『閻魔大王審罰刑図』
虎の口の中には『十二賢士』
天国をえがいた『十殿玉皇大帝三十六宮将図』などの
立体的な絵に囲まれた通路だった。

なんだかよく分からないけれど、
ひとびとが鬼みたいなのに追いかけられたりしているのだなぁと、
カラフルな絵を見ながらあるいた。
どくとくな空間だった。




このときは11月だったのだが、
とにかく湿度が高く、暑くて暑くてもう汗だくすぎて、
執念で塔によじ登っていたわたし。
塔のうえは、景色が開けて見張らせるオープンエアになっていて、
わたしは息を切らし、少しの風にあたっていた。



そして、塔内と、池周辺の眺めをくまなく堪能したわたしは、
階段を降り、いよいよ虎の口からでるところまできた。


すると、入口のところで観光客の団体が、
なにやら立ち往生しているのが見えた。

その団体が日本人ではなかったので、
なにか会話をしているのだが、なにを話しているのかは、分からなかった。


通路には窓がないので、暑い。
わたしは、出口すんぜんで、その団体に堰き止められるかたちとなり、
いっしょになって立ち止まっていた。

『なんで前に進まないのだろう?』と、よく分からないまま、
その団体のうしろで待機すること1分
通路には窓がないので、暑いのである。


やっと動き出すとともに、わたしもあとに続いて出口から脱出した。
虎の口から出ながら『なにをこんな所で立ち止まって、溜まっているんだ?ノロノロしないで、さっさとどいて邪魔ーーーーーーーー!!!』と
心のなかで罵倒しながら、ぜんぜん善き人じゃなく外へ出た。


ぜんぜん、善き人じゃないままだった。
虎から出たとき、心のなかでちょうど人を罵っていた。


もっと、『あら?なにかお困りかしら?』とかおもえたりしたかった。
肩を落として、蓮池潭をあとにした。



にんげん余裕が必要だ。暑い、急いでいる、じぶんの計画通りにしたいときなど、ついついイライラしてしまう。

あと、良い、悪い、正しい、間違いなどのジャッジの見方によって、
自分の視野を狭めてしまうときとかも、イライラしたりするなぁ。

そんなじぶんを繰り返しているのなら、
台湾に龍と虎の塔が何塔あっても、足りない。

つぎに台湾に行けたときには、余裕を持ってただただ思いっきり小籠包を食べることだけに夢中になろうとおもう。
あとヌガーもしこたま。




☕︎ Have a nice day! ☕︎


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