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『オーストリア滞在記』中谷美紀さんの文章の美しさに酔いしれるコロナ禍日記


本日は女優、中谷美紀さんの 『オーストリア滞在記』をご紹介します。

私は中谷美紀さんのドラマや映画は何本も観てきましたが、文章を読むのはこれが初めてです。

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中谷さんはヴィオラ奏者のドイツ人男性とご結婚されました。

本著ではオーストリアがコロナでロックダウンされた中での、2020年5月から7月まで3ヶ月間の田舎暮らしの様子が日記形式で綴られています。

心から出会えて良かったと思える本でした!

有名な女優さんのプライベートを覗き見しているようなドキドキ感もあり。海外に思いを馳せたり。

いろんな感情が入り乱れて、本当に素晴らしい読書時間となりました。

凝り性の旦那様を暖かく見守る眼差しが愛情に溢れていて、とても素敵!

"3000m級の雪山にひとり分け入り、スキーで滑り降りてきたり、ロードバイクで7時間のツアーに出たりと、常人の想像が及ばないことを平気でやってのける人間だからこそ、国立歌劇場管弦楽団や、ウィーンフィルの一員として過密なスケジュールにも音をあげることなく演奏し続けることができるのだろう。

いかに辛かろうと、彼の好きにさせるのが何よりいいのだ。

夫の苦行を傍目に私は陰生植物を木陰に植え付け、美しい植物たちの姿を眺めて愉悦に浸る。"

旦那様と元のパートナーとの間の娘Jちゃんと中谷さんとのドイツ語だけでのごっこ遊びや、クッキーを焼いたりという心の触れ合いの描写もほのぼのしていました。

中谷さんの素材を生かした朝昼夕の美味しそうな手料理、そしてそれを文章にする才能も素晴らしいです。
どれもとても美味しそう!

夫婦で理想とされる庭づくりの作業はときに重労働で。
何を大切にしているかというお2人の姿勢が、生き方はもちろん、庭づくりにも表れています。

現地で暮らしていく中での人との自然な交流。

ドイツ語への飽くなき探究心と、勉学に勤しむ姿。
オーストリアならではの国民性や、考え方。

オーストリアの日常や情景が細やかに丁寧に描かれています。

語学が堪能なばかりではなく、日本語がこんなにも美しいのかと気づかされて感動します。中谷さんの放つ文章の魅力は、語り切れないほど!

日本語の表現の持つ奥ゆかさや、懐の深さ。
知らない語彙も多く出てきて、引き出しの多さに唸ってしましました。

中谷さんの聡明さ、気品、遊び心、語学への探究心、お人柄の温かさ、優しさ、愛情深さが感じられて、より一層好きになりました!

武田百合子さんの『富士日記』を彷彿とさせます。
また違った味わいなのですが、なんとなくそう感じました。

中谷さんを少しでも見習って、もっと色んなことに関心を持って自分を磨いていきたいです。





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