苦手なことはやらない、でもやってみないと苦手なことすらわからない。
運動が嫌いだった。
理由は明快、運動音痴だからだ。
小学校での体育の成績は、5段階評価の2。
昭和の体育の授業は、「できるまで居残り」というのが多かった。
私は居残り組の常連だったが、体育教師いわく私は、
「あなたは運動ができない体型でもないのにね」
だった。
居残り組は、いわゆる太めの子でしめられていたのだ。
私は、太めだから「できない」のではないのである。
正真正銘の運動音痴。
いつもいつもそうだった。
走るのだけはましだったので、時々リレーや駅伝の選手に抜擢された。
でも、それしかできなかった。
20代になって、体型キープのためにヨガをはじめた。
30代でベリーダンスをはじめて(引っ越しを機に辞めたが)、40代でピラティスとバレエレッスンを追加した。
50代で、なんとフラを追加した。
フラとはフラダンスである。
ダンスであるよ!
運動音痴なのに。
でもパウスカートが可愛いし、ちょっとやってみたのだ。
で、1ヵ月で挫折しそうになった。
覚えられないのだ。
ハンドモーションとステップ、別々ならなんとかできるのだが、一緒になるとてんでダメ。
やっぱり運動音痴は死ぬまで運動音痴なのだ…。
と、あきらめて。
本気で挫折しそうになったのだが。
ほんの少し、楽しい時間があった。
できた瞬間だ。
ハンドモーションとステップが合致した瞬間。
思えば、「できない」に打ちのめされているのは私だけで。
同じクラスの皆さんは、私など見ていないのだ。
皆さんは皆さんで、ご自身のフラの世界で生きている。
楽し気に生きている。
「できない」呪いをかけているのは自分自身。
小学校の頃も、もしかしたらそうだったのかもしれない。
他人様が1回でできることを、私は3回も4回も、もしくはそれ以上もできなかった。
でも、もしかしたら2回目でできるかもしれなかった。
それを1回目でできなかったからって、「できない」と思い込んだ。
自分で自分に「できない」と言い聞かせていたのかもしれない。
運動音痴だと、自分で思うから、運動音痴なのであって。
本当は、ほんの少し皆より時間がかかるだけかもしれないのだ。
フラだってそうだ。
なので、もう少し続けることにした。
「できた」瞬間を増やすために。
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