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読書記録22『amazon』成毛眞 2018年からの成長を検証

こんにちは、だるまです。サークルが忙しく、更新をしばらくお休みしていました。再開です。

今日の本

今日ご紹介する本はこちら、『amazon』です。amazonのサービス内容と儲かりの秘密、さらに同業他社との比較を分かりやすく説明しています。

発売が2018年なので、主に2017年のデータを説明しているのですがこの3年の間でもamazonは成長を続けています。
そこで、このnoteでは本書にあげられているデータと最新のデータを比較してamazonの未来について考えてみたいと思います。

amazonの時価総額

会社の規模を測る指標として、時価総額は話題になります。

本書でamazonの時価総額はAppleに次ぐ世界2位となっていますが、2021年現在Apple、Microsoftに次ぐ3位となっています。以前Microsoftを抜いた新聞記事を読んだ気がしたのですが、気のせいでしょうか。

ともかく、GAFAの一員として市場をけん引している企業です。

amazonの決算

amazonの決算で特徴的なのは、純利益が少なくキャッシュフロー経営を行っていることです。お金を生み出し次々に設備投資やベンチャー投資に回しています。

公式サイトの決済報告書をみると、キャッシュフローの説明書が損益計算書や貸借対照表を差し置いて一番初めにあります。

2017年と2020年の決算を比較します!

2017年→2020年
売上         1800億ドル → 3860億ドル
純利益         30億ドル → 213億ドル
営業キャッシュフロー  184億ドル → 660億ドル
フリーキャッシュフロー 83億ドル → 64億ドル
投資キャッシュフロー -10億ドル → -596億ドル

売上も純利益も急成長しています。調べていて桁を間違えている?と疑いました。

ここから、売上高の内訳をみていきます。

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Excelで筆者作成

「オンラインストア」はamazonのECの売上
「手数料」はamazonで販売するときのマーケットプレイスの手数料
「AWS」はAmazon Web Serviceのことで、企業向けのクラウドサービス
「プライム」は、アマゾンプライム会員費の売上
「店舗売上」は、主に2018年に買収した米スーパー「Whole Foods」の売上

グラフを見ると、2020年は小売業の貢献割合が低くなり、企業向けサービスAWSや、手数料、プライム会員費の割合が増えました。利益が出やすい企業向けサービスに力を入れていくのでしょうか。
そもそもの母数である全体の売上が2倍以上に膨らんでいるため、どの事業も好調だと言えます。

AWSとは?

好調なAWS(Amazon Web Service)は、一般消費者には馴染みのないサービスです。

これはamazonが自社の小売り事業のために開発したサーバーから始まった副産物です。
本来は企業ごとに設置し維持管理しなくてはならないサーバーをamazonのものを借りて使うことで、クラウド上でネット回線を使用することができます。

企業は通信設備の準備、維持管理にかかる莫大なコストを省くことができ、amazonにとっては自社のために開発した余りを収益化でき、好都合なのです。

クラウド業界におけるシェアは2017年には35%で世界第1位です。現在も32%とシェアをキープしています。

プライム会員

アマゾンプライム会員の方は多いのではないでしょうか。かくいうだるまも、Prime studentに登録して夏休み中映画やドラマ、アニメを観まくっています。

2021年にアマゾンプライム会員は全世界で2億人を突破したそうです。コロナ禍の今、家で楽しめる映画やドラマ配信サービスはますます受け入れられていきそうです。

プライム会員はそうでない消費者に比べて、年間2倍の金額をamazonに支払うそうです。便利だと騒いでいる間にきっちりお金を使っています。

即日届く物流を目指して

amazonと言えば、注文したら翌日に荷物が届く驚異の配達力が武器です。そのため、物流拠点の設備投資に巨額の資金をつぎ込んでいます。

例えば、本書では航空物流センターを建設予定とありました。それが2021年8月、ちょうど先月ついに竣工しサービスを開始。
アメリカのシンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港内に「Amazon Air Hub」ができました。2.4㎢の土地に0.7㎢の物流施設を建設し、海外へ迅速な配達が可能になりました。

M&Aを繰り広げるamazon

amazonはこれまで数々の企業を買収しそのノウハウを自社の物にしていきました。

2017年までに70社以上買収したと言われ、中でも生鮮食品スーパー大手の「Whole Foods」の買収は過去最大のものでした。そのほかにも倉庫のロボットを開発する「Kiva」や「Alexa Internet」などを買収しています。

近年話題となったのは、処方薬のインターネット通販を手掛ける「Pill Pack」の買収。「アマゾン薬局」のサービスを開始しました。
最近では、映画製作会社の「MGM」を84億ドルで買収すると発表しています。

今後も積極的な買収で守備範囲を広げていく模様です。

これからのamazon

「アマゾン薬局」をはじめ、どんどん新たな産業に手を伸ばしていくamazonはこれからどこへ向かうのでしょうか。

今わかっている範囲では、金融(「アマゾンレンディング」)、生鮮食品(「アマゾンフレッシュ」)、決済サービス(「アマゾンペイ」)などがあげられます。

下の記事によると、これから狙うのは保険、高級ファッション、スマートホーム、園芸分野だそうです。また、「アマゾン銀行」の出現も2018年頃からずっと噂されています。

どの産業も、amazonの配達力と取得データ、IT技術で難なく進出できそうです。それほど大きな企業体となっていると思います。

こんなに大きくなってどうしたんですか、と某引越社のように聞きたいところですが、今月で創業者のジェフ・ベゾス氏は退任してしまいます。
なんだかひと時代の幕切れのような気がしてなりません。

今後どんな道を進むのか、注目です。

かしこ


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