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『「全国旅行支援」大混乱!をきっかけに世界一のweb3行政化を目指しては!?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.10.12

■最大1万1千円補助「全国旅行支援」11日から開始 複雑なルールに困惑の声も

10月11日~12月下旬、旅行代金の40%を割り引く「全国旅行支援」が開始されました。

宿泊費のみは5000円、交通費込みは8000円、そして旅行先で使えるクーポンとして休日1000円、平日3000円の補助が受けられ、最大で1人1泊1万1000円お得になるというキャンペーンです。

これにまつわる記事を10月6日に書きました。

この時点ではシンプルに行政手続きって面倒だよねっ!web3化でもっと手続きが楽で透明になる未来があるんじゃないかなっ!と無邪気に書いていたのですが、実際に「全国旅行支援」キャンペーンが始まってみるとかなり混乱が生じていることが報じられています。

何に混乱しているのかを改めて整理してみると、いわゆるDXでも解決できる部分もありつつ、やっぱりweb3のトラストレスやインターオペラビリティという思想に則ったシステム化で解決すべき課題が多いなと感じました。

混乱ポイントを整理しながらweb3視点での解決方法を10月6日に続いて妄想してみたいと思います。


■「全国旅行支援」混乱のポイントとweb3的解決策

周知期間が短すぎる

混乱のポイントは非常にたくさんありますが、結果的にキャンペーン実施日までの準備時間が短かったことがまず挙げられます。

10月6日の記事では、この「全国旅行支援」に乗る事業者の募集が開始された、というニュースをご紹介しました。宿泊施設、交通機関、飲食店、土産物店を対象に補助金が出るわけですが、登録された事業者しか割引は適用されません。その事業者の募集が、旅行申し込みのわずか5日前です。

旅行者にとっても、このキャンペーンを知るための周知期間が足りていない印象です。報道で「混乱」の方を先に知る人もいるじゃないでしょうか。

旅行者を動機付けして旅行者を増やすことが目的なので、周知宣伝する期間が短いというのは問題ですが、事業者側が間に合わず割引対象外のところが増えてしまうことはweb3で解決できそうです。

10月6日の記事の通り、事業者は自治体に対してDID接続すれば適格性審査が自動で行われ、ウォレットがつながり、キャンペーンスタンバイOKです。作業は一瞬なので、どんなに短期間スタートでも大丈夫です。

繰り返しですが、キャンペーンの目的である「旅行に行きたいと思う人を新たに増やすこと」を叶えるための十分な周知期間が必要、というのは別の問題として解決しなければなりませんが、事業者の混乱は避けられます。


旅行代理店が全国のキャンペーン内容を習熟しなければならない

今回のキャンペーンを適用させるためには旅行代理店を通じた申し込みが必要です。

「全国旅行支援」という全体名称はあるものの、GoToトラベルの時は全国一律だった名称が今回は自治体によって呼び名が異なることも混乱の原因のひとつだと言われています。しかしこれはあまり大きな問題ではないでしょう。検索タグに「全国旅行支援」と入れれば解決しそうです。

問題は、各自治体ごとに細かいルールが異なっていることと、旅行代理店を窓口としたことで代理店は全国すべての制度を習熟しなければならない状態にハマったこと、そして旅行代理店が46道府県すべてにそれぞれ申請が必要という手続きにしたことです。

仮に旅行代理店を窓口とする場合でも、未来では旅行代理店が各自治体にDID接続すれば完了、くらいシンプルにできるはずです。全国のルールの差分を把握する必要があるのは変わらないかもしれませんが、手続きはシンプルにできます。

しかしもう一歩踏み込んで、ホテルや交通機関、各店舗などが直接自治体にDID接続しキャンペーン登録してしまえば、旅行代理店を経由する必要はなくなります。パッケージ旅行より個人旅行にキャンペーン対象を広げた方が旅行需要は喚起できるはずで、事務都合で旅行代理店を窓口にしなければならないキャンペーン運用は根本的に見直すべきです。


ワクチン接種歴や陰性証明書に関するルールが自治体によって違う

本人確認証+ワクチン接種歴もしくは陰性証明書が必要、12歳未満は同居する親などが同伴で不要、というのが基本ルールです。

しかし宮城県などでは2回目の接種から2週間以上経っている人も対象になったり、複数人で予約した際に1人だけワクチン未接種だった場合の割引適用対象外が未接種本人だけなのか団体全員対象外になるかなど自治体によってルールが異なるようです。

これも、まずワクチン接種歴がSBTとして個人のDIDに紐づけてウォレットに格納され、DIDを接続するだけでワクチン接種歴が確認でき割引対象となればOK。対象外の人もDID接続した段階で「対象外だけどいいか?」「団体全員が対象外になるけどいいか?」と予約段階で即時で表示されれば、現地に行った後に発覚してトラブルになることを防げますし、証明書類を忘れたということも防げます。


紙クーポンがまだある

今回のキャンペーンは紙クーポンのところと大阪のように電子クーポンを中心に発行するところとあるようです。

紙クーポンはいいかげんやめるべきです。
郵送事務のコスト、物理輸送のエネルギーの無駄遣い、到着までの時間ロス、本人以外が不正使用するリスクなど、合理性がなさすぎます。

国のキャンペーン予算のうち何割かが印刷代・輸送コスト・事務手続きコストに消費されているとしたら、旅行業界向けのキャンペーンなのか印刷業界・輸送業界・自治体職員向けのキャンペンなのかわからなくなります。

また、紙と電子クーポンが混在すると県をまたいだ旅行がやりづらくなります。何枚も紙クーポンを持ち歩くのも億劫です。

支払い時にウォレット接続すれば割り引かれた額が引き落とされる。これでいいはずです。キャンペーンに申し込み済みかどうかを本人のDIDと紐づけていれば他人の不正利用や割引券だけの転売を防ぐことも容易です。


■DXでも解決できるがweb3の方がベターな理由

DXでも多くは解決できます。

しかしDXで解決する場合、システムをひとつにまとめるか、仕様を共通化させる必要があります。

つまり大手1社のプラットフォームに収斂されてしまう中央集権化の課題があり、その中央の企業の仕様変更によって公共性の高いキャンペーン全体が左右される可能性があります。

その大手プラットフォーマーから見ても、次にシステムが採択されるかがわからないとなると共通基盤の大がかりなカスタマイズもしづらくなります。スクラッチでひとつのキャンペーン専用に開発すると継続利用も保守もできず無駄になります。

デジタル化を進める方法として、チケットはNFTのとして規格統一化、持っているかどうかの確認はウォレット接続に一本化、本人が持っているかはDIDにウォレットを紐づける、というかたちで相互運用性を高めるweb3の分散型の思想を取り入れた方が自由度と互換性の両立が図りやすいと思います。

割引クーポンをNFT化することで、発行元が本物の自治体であることも証明できますし、移転履歴も明確になります。

DIDは現時点ではまだまだ標準化から遠いですが、将来はきっと個人や法人を証明するのはDIDとなるはずです。

できることからコツコツと、ではありますが、今回の「全国旅行支援」の混乱や過去のコロナ給付金の配布事務費に6700億円などの反省を踏まえつつ、せっかくなので世界一web3行政化が進んだ国を目指してみるのはいかがかしら、と思います。web3を国家戦略に!と謳っていますしね。

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