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商売をする上で、古い価値観を持ち続ける人たちは、気づいた時には時すでに遅しとなる。

新型コロナウイルス感染症の経済的な影響面をカバーするために、自治体から補助金が充てられて、若手経営者が集まって、地域の中小企業の中長期的な生き残り策を検討する。

そのような委員会が立ち上がり、私もある団体からの出向者として委員会に所属しているのですが、そこで感じたやるせなさや、新旧交代の兆しをメモとして残したいと思います。

デジタル化推進のとんちんかん

【デジタルトランスフォーメーション】を念頭においた、デジタル化を推進するという題目で立ち上がった事業が独自の【YouTubeチャンネル】を立ち上げて、地域の中小企業のPR動画を補助金を使用して作成し、市民に対してPRする。という内容です。

そもそもデジタルトランスフォーメーションとは、デジタルテクノロジーを前提に、デジタルを使い倒しながら、自らの商いを見つめなおして、抜本的に組み換えながら一から作り直すというものです。

それに対して、今ある業務をデジタルに置き換えるデジタライゼーションが一般的に認知されているデジタル化というものだと思いますが、今回立ち上げる予定の事業は、【デジタルツールを利用する】という、何もデジタル化に寄与しない内容となり、あまりにも自分たちなりの【デジタル化】の解釈がなされています。

今ある状況に積み上げて先に未来があると仮定する

ある意味では正しいとも言えますが、過去をそのまま残しながら積み上げようとするアプローチは、デジタル化のスピードに全く対応できません。いまや、小学生でもYouTubeやtiktokで生配信を行い、フィードバックを受けながら日々コンテンツを磨き上げているにも関わらず、経営者たる人々がYouTubeチャンネルの立ち上げに躍起になっている様を見ると、新旧交代が間もなく訪れることを感じさせられます。

新しい波に対して【やる気】を見出してもらう

YouTubeにすら触れていない経営者に対して、実際に動画制作に触れてもらい、デジタル化された世界におけるPR方法に実践的な内容と共に興味をもってもらう。その後、良ければ引き続き動画制作業者に依頼をして、YouTubeでのPRを進めてもらう。

最終目的は自社のYouTubeチャンネルの立ち上げといった所でしょうか。

デジタル化が進む世界でのコミュニケーション

お客様とどのようなコミュニケーションを取るのかを考えてみると、従来のように一方的に広範囲にPRするコマーシャルではなく、一人ひとりの興味関心に沿いながらも、今欲しいと思うタイミングで提案する【今この瞬間】であるということと、信頼関係を積み上げる【接着点の継続】がキーになります。

そして、一対一の関係性を、同時並行的に多数持つことによって、今まで以上に密な関係性を多くの人たちと共有することができるようになり、マーケットが分散しても、適切なバランスで調和する公平性が担保されるコミュニティがあちこちで生まれることになります。

企業側に必要とされるPRとは

一方的で広範囲に発信するPRではなく、自分たちが商売を通して誰をどのように幸せにしたいのか。そのお客様たちを幸せにすることによって、どのような世界を実現していきたいのか。そのようなことを、あらゆるアプローチを模索しながら、一対一のコミュニケーションを前提において、一緒に世界観を作り上げるというPR方法です。

YouTubeで情報を発信することに対して【やる気】を見出している時間もなければ、そのようなことをしている間は、ずっと【やる気】も湧きたつことは無いでしょう。

やりたければ【今】やってみればいいし、できないならばできないなりの低クオリティでも良いから、まずは触って、まずは自分で実行してみることが肝要だという事は多くの人が頷くと思います。

今までのやり方を一旦全て取り払って、デジタルツールを前提として0ベースで考えよう。ということが、デジタルトランスフォーメーションであるとすれば、今あるものをそのまま残すことがリスクになる可能性が高いということに気づかなければなりません。(とは言え、それが怖いとうのは人間の性ですね。成功体験を積んだ大人になればなるほどそうでしょう。)

取り扱う情報量がそもそも違う

40代、50代の経営者と、今の若者では、取り扱う情報量がそもそも違います。それは知識量という指標ではなく、情報のバリエーションです。デジタルツールに慣れ親しんだデジタルネイティブな若者たちは、デジタル上だけではなく、リアルの世界においても常に自分に適した音楽が傍にあり、デジタルとリアルの境界が曖昧になり、デジタルの情報量が豊富になるのと同時に、リアルの情報量も彩り豊かになり、コミュニケーションもインタラクティブでリアルタイムに移り変わる流れる水の中を自由奔放に、気のままに流れに身を任せていると考えて良いと思います。デジタルなフィジカル体験が増せば増すほど、リアルのフィジカル体験も増していくということが正しければ、リアルだけに住んでいる住民との距離は、日を追うごとに広がっていくばかりということは、誰の目にも明らかではありますが、そのようなこともわからないのが旧時代の住民です。

旧時代は旧時代の良さがありますので、それを全否定することはできませんし、これからも過去を振り返り、歴史に学ぶことも想像以上に多いでしょうから、それを無視してしまうと、足元をすくわれることにもなってしまいますが、旧時代の価値観だけで進んでいくには、変わりゆくスピード感が加速度的に増していく時代には到底追いつくことはできません。

特に40代50代の中小企業の経営者の方々には、新しいものを取り入れるのではなく、一から新しいものに飛び込むという力と決意と好奇心を持って、真摯に謙虚に自分を見つめなおすという一大事業を一刻も早く進めてもらいたいと思うばかりです。

そのようなことを想いながら、私は明日からも旧時代のコミュニティで一石を投じる努力をし続けようと思います。

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