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豊かさとは何か
以前、「環境問題は心の問題である」という記事を書いたことがありました。
私たちは日々、与えられた幸せに気づくことなく、物質でもって幸せが得られると思っている。
その結果として生じた環境問題を、心をなおざりにしたまま、科学や政治経済でもって解決しようとしている。
これに関連して、以下の本を読んでいました。
インドの最北端、チベット高原ラダック地方の人々についての話が印象的だったので、ご紹介させていただきます。
この地域は何世紀もの間、他の地域から隔絶され、独立した生活が営まれてきたそうです。厳しくも美しい自然環境に囲まれ、チベット仏教の信仰のもと、ラダックの人々は穏やかに暮らしてきました。
ところがインド政府の政策もあり、1975年に外部との接触が始まると、この地域に様々な輸入品、観光客やグローバルメディアが入ってくるようになりました。
このことは、ラダックの人々に大きな影響を与えました。
外からやって来る様々な商品や観光客を見るうちに、ラダックの人々は自分たちの食べ物や衣服、そして自分たちの言葉までをも、みすぼらしいものだと感じるようになりました。
畑で必要な作物を育て、衣服をはじめ様々なものを手作りで満たしてきた自分たちの生活を、遅れたものだと感じるようになりました。
強烈な不安感や自己否定の感覚。
特に大きな影響を受けたのが若者たちです。
そうして白人に憧れたためでしょうか、多くの人たちが美白クリームを使い始めたそうです。
これはラダックの人々だけに限ったことではないと感じます。
私たち一人ひとりの心にも、多かれ少なかれ同じようなことが起きているのではないでしょうか。
自分と誰かを比べて、不安感を感じてしまう。
他人の持っているモノや生活スタイルを見て、自信を失くしてしまう。
豊かさとは何でしょう。
モノの豊かさを得ようとして、心の豊かさを失ってしまう。
生まれた時には、何も持たず、そのままで美しい心を持っていたのに。
死ぬ時には、どんなモノも持っていくことはできないのに。
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