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雨の音を「ぴちぴち」と表現した北原白秋のすごさ【ライターの子育てエッセイ#2】

子どもを抱っこして、雨のなか保育園まで歩きなごら、ふと雨の音について考えた。

今日は、雨が、ざあざあ降っているね。

そう語りかけて気づいたけど、今日の雨に、この「ざあざあ」という音はしっくりこない。

傘を差しながら歩いていて、聞こえたのは、ビニール傘に雨が当たる、ぱちぱち、という音。

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(写真)おろしたてのレインコートを着てご機嫌な2歳児

雨がコンクリートに落ちて、聞こえる音はなんだろう。そう考えて、あらためて音を注意深く聞いたところ、傘に当たると、ぱちぱち、と鳴っていた雨は、地面に当たると、ぴちぴち、という音になった。

そこではっとしたんだけど、「ぴちぴち ちゃぷちゃぷ らんらん」という歌詞を考えた人は、本当にすごい。

僕の耳に聞こえた音の輪郭は、確実にこの歌詞の影響によってかたちづくられたと思う。

雨といえば、多くの人が思い出すであろう「あめあめ ふれふれ かあさんが」という歌詞で始まる童謡「雨ふり」。作詞は、詩人の北原白秋。

短い言葉に表現を凝縮する名人たちの、言葉の感覚は、やはり鋭い。

耳をすませば、走るクルマから聞こえる音を言葉で表現しようとすると、ブーブーではないし、電車もガタンゴトンではないように感じる。

子どもに語りかけたことをきっかけに、安易に、これまで聞きかじってきた言葉を使うのは、誠実ではないと気づいた。実際に人に話すときに使うかはさておき、聞こえる音を、言葉でスケッチする習慣をつけるように頑張ってみたい。

(終わり)

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●売れないライターの子育てエッセイ「そして、父になりつつある」について

30歳まで実家ぐらしで、家事能力はゼロの穀潰し。結婚や子どもを持つことなど考えもしなかった零細フリーライターが、あれよあれよというまに子育てすることになったため、メモをもとに日々の暮らで思ったことをエッセイとしてつづる、零細ライターの育児日記「そして、父になりつつある」。

家事の分担で気づいたジェンダーの問題や、夫婦間の価値観のすり合わせの過程、子どもがゼロからなにかを学んでいく興味深い姿勢、そのかわいいエピソードなどがメインの予定です。

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