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日立のドラム式洗濯機に、離婚の危機から救ってもらった[だめ人間の子育てエッセイ#6]

恥ずかしながら、30歳過ぎまで実家ぐらしを続け、彼女との同棲や結婚後も、2年間はまったく家事に参加しなかった。

どうも、生活力レベルゼロ、アリアハンから出た瞬間にスライムやおおがらすに瞬殺される弱々のダメ人間です。

24歳から約3年間はインドネシアでひとり暮らしをしていたけど、当時住んでいたアパートには住み込みのメイドさんが何人もいて、頼むと掃除と洗濯をしてくれたうえ、屋台のメシが安くて旨いので、生活力は1ミクロンも向上せず。帰国後も実家で穀潰しをしていた。

大学まで体育会系でバスケットボールを続けていたので、合宿などで先輩の洗濯をやらされそうなもんですが、そのあたりも、のらりくらりと逃げ続けてきたので、リアルに一度も洗濯機を使ったことがなかったのである。

ここまで書いて、我ながら、なかなかのダメ人間であると、あらためて思います。

●南の島のハメハメハ大王はノンフィクション

そんな社会人落第クソ野郎が子宝に恵まれ、一児の父となるも、家事・育児に参加しなかったうえに、過去の悪事が露見したことで離婚の危機に。なんとか脱出するために、家事・育児に積極的に参加をすることになり、そのなかで、洗濯という大役を仰せつかることになった次第でありました。

実家の母は、洗濯機で洗った衣類を、手でパンパンと叩いて、シワを伸ばしてから二階の物干し竿に干すことを絶対視する、一世代前の手作業最強説信者なので、「私だったら使わない」と若干イヤな顔をされたわけですが、一緒に住むわけでもなイチ親類の個人的な意見に振り回されるわけにはいかない。

そもそも、洗った衣類を屋外に干すという行為は、非常に前時代的な行為であるように、常々思っていた。誰かと話をしているときに「あ、洗濯物を干してるから、取り込みに帰らなきゃ」という徹頭徹尾理解不能な謎ワードを耳にすることがたびたびあったのですが、2020年になっても、人の行動が天気に左右されるのは、なんというか、文明の敗北のように感じられるわけです。

かつて住んでいたインドネシアでは、スコールが降ったらアポイントがあっても雨宿りしてたけど。そして、その言い訳がわりと通用するので、南の島のハメハメハ大王は、ノンフィクションであることを知ったわけですが、それはまた別のお話。

そして、現代においては、個人でも購入が不可能ではない価格帯で、洗濯から乾燥まで一気通貫で担当してくれるドラム式洗濯機という神アイテムが存在する。使わない手はないですよね。

●ラクラクホンみたいなデザインにならないものか

ということで、お付き合いのある月刊誌「家電批評」の編集者からアドバイスをいただいたうえで、日立のドラム式洗濯機を購入。

サイズや排水溝の位置を確認して、配送スタッフに設置をしてもらい、準備は完了。しかし、ボタンがいろいろあって、どれを押せばいいのか、さっぱりわからん。

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(写真)神アイテム、日立のドラム式洗濯機の操作パネル。初心者にとって、どこを押せばいいのかまったくわからない、ハイテクな雰囲気。料理初心者が、「塩少々ってどのくらいだよ!」と悩む感じと似ている気がする。

妻ーー! どこを押せばいいのか、教えてくださーい! というか、押してくれー! と、購入から数日の間は、結局手伝ってもらっていた(全自動洗濯機の使用を”手伝う”とは)のだが、PCやスマホなどの機器に関して、妻からなにかを聞かれた際には、一応教えながらも「ググれば出てくるから」と感じ悪く言い放ってきた過去の自分から、特大のブーメランが返ってきすぎて、これ以上刺さる場所が残っていないうえ、これだと洗濯担当大臣を任命された意味がまったくないため、意を決して、どのボタンをおせばいいのかを覚えることに。

正直、ボタンが多すぎると思うんですよ。すすぎ何分とか、正直そんな細かく設定するシチュエーションってあるんですか? まあ、あるとは思うんですが、アリアハンを出たばかりのレベル1には必要なし。

たぶんですけど、カンダタを倒してダーマ神殿に到着するくらいレベルが上がらないと、そんな機能は使いこなせないんじゃないですか? しらんけど。

なんなら、ラクラクホンみたいに、「電話」「メール」くらい必須のボタンが大きく配置されていれば、それがいちばんありがたい。「ふつうの洗濯→乾燥」「頑固な汚れの洗濯→乾燥」「その他もろもろ」とか、ふたつの大きなボタンがついてれば、それがいちばんありがたいんです。

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(画像)ラクラクホンみたいな、かんたんなボタン表示のイメージ。「フツーの洗濯&乾燥」と「ガンコな汚れ洗濯&乾燥」と「その他」に分かれてて、どこを押せばいいのか明白。初心者でも間違えようがないはず。

間違ったボタンをおして、家を出る前に洗濯機を回したのに、家に返ってきたら、なぜか乾燥が終わっておらず、臭くなった洗濯物が…みたいな悲劇や、間違ったボタンを押すことで、インディージョーンズの遺跡の罠みたいに、謎の機械が作動して、腕を切断されないか…みたいな不安もよぎります。最後のは筆が滑っただけのウソです。

●日立がひとつの家族離散を救った

結局、一度設定をしてしまえば、電源ボタンを押して、「スタート」のボタンを順番に押すだけで、自動で乾燥まで終わることがわかったので、家事をしないとヤバい状況になった現状に、ドラム式洗濯機があって、本当に良かったと思いました。

こんなに便利なのに、洗濯物をためてしまって、息子のエプロンが足りなくなり、怒られることがたまにあります。ドラム式洗濯機でこれなんだから、すべて手で洗って、干す時代に生まれてたら、秒で離婚されてたでしょうね。日立で働くみなさん、本当にありがとうございます。あなたたちの製品が、ひとつの家庭の離散を防ぎました。まだ次の危機がいつ訪れるかは、定かではないけど。

(終わり)

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●ライターの子育てエッセイ「そして、父になりつつある」について

30歳まで実家ぐらしで、家事能力はゼロ(32歳まで洗濯機を使ったこともなかった)の穀潰し。結婚や子どもを持つことなど考えもしなかった零細フリーライターが、自覚も覚悟もないまま結婚し、子育てすることになったため、“父親“になるべく奮闘するリアルドキュメント。

自覚ゼロのダメ人間が、じょじょに父になりつつある現状を記録しつつ、世にはびこる父の自覚ナシのオトコたち(かつての自分)に捧ぐ、更生のヒント満載のエッセイを書いていく予定です。

・家事能力ゼロのだめ人間が育児・家事に参加する過程
・家事の分担で気づいたジェンダーの問題
・夫婦間の価値観の違い
・子育てを通して思い出す親からうけた教育のあれこれ
・子どもがゼロからなにかを学んでいく興味深い姿勢
・そのかわいいエピソード

などがメインの予定です。

↓は過去記事まとめリンクです。


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