カスタマーサクセスしていたらプロダクトコンセプトを創りなおすことになりました

a-worksでSaaSプロダクト「AdCent(アドセント)」の企画、マーケ、カスタマーサクセスを担当しています。
2019年に行ったAdCentのコンセプトリニューアルについて、プロダクトとしても個人としても大きな転機になったので、まとめておこうと思います。

コンセプトリニューアルまでの経緯

AdCentはアフィリエイト広告に特化した一元管理システムです。元々は広告代理店であるa-worksの広告運用&顧客のための社内システムでしたが、2017年にプロダクトアウトしてシステム単体のサービス提供を開始しました。

2019年当時にこれまでの事業を振り返ったとき、セールスやサポートといった部分での最適化よりも、プロダクト全体のボトルネック解消を目的としたコンセプトリニューアルが必要でした。

個人としては、1年ほどカスタマーサクセスをメインに活動していましたが、当時のPdMが退社することもありリニューアルを主導することになりました。

ボトルネックを越えて目指すもの

・顧客のグロースに貢献する
AdCentはアフィリエイト広告業界で「ワンタグ」と呼ばれるジャンルのシステムで、詳しくは割愛しますが広告の拡大に伴って起きる問題を効率化によって解消します。

ただし「ワンタグシステムだけ導入すれば万事OK!アフィリエイト広告が成功する!」ということはなく、最大価値を発揮するには運用ノウハウやクリエイティブ制作、メディアリレーションなども同時に必要になります。

ワンタグが解決可能な問題だけを持っている広告主は稀で、またワンタグ以外の領域の課題解決が難しい広告主も多いため、アフィリエイト広告全体の成功に貢献できるサービスであれば市場が広がると考えました。

・カスタマーサクセスが機能する仕組みがある
カスタマーサクセスを立ち上げた際にモヤモヤしていたことが、料金体系としてアップセル・クロスセルがほぼ発生せず、究極的には「カスタマーサクセスが活動すればするほど利益が減っていくこと」でした。

この料金体系では継続率の維持のみに重力が働くので、顧客のグロースのための提案が減ることが予想されました。無理なく仕組み化するなら「カスタマーサクセスが活動すればするほど、顧客がグロースし売上も創出される」といった料金体系であるべきです。

リニューアルで実装したもの

・提供領域をシステム・ノウハウ・アドオンの3領域に拡大
従来提供していたワンタグシステムのみでは「グロースするにはワンタグだけが必要」という広告主だけしか価値貢献できません。a-worksが広告運用事業で培ったノウハウであったり、クリエイティブ支援をアドオンとしてメニュー化することで「ワンタグは要るし、社内にノウハウも必要」や「ノウハウはあるが、ワンタグは要る。スポットでクリエイティブ支援が欲しい」といった広告主までリーチを狙いました。

・新しいコンセプトの発信
プレスリリースサイトリニューアルを通して、
新しいコンセプトが伝えられるよう発信内容を変えました。

その他にも既存の顧客やリードへの案内や資料の改定など、刷新に伴う箇所は多くありました。業務効率化軸での知名度が一定あったため、その認識との混乱が起きないようにすることが一番のハードルになります。

・カスタマーサクセスの活動範囲を拡大
まずはLPO(LP最適化)やメディアリレーション施策など、a-worksの広告運用で提供しているものを切り出してメニュー化しました。提供できるメニューを増やし「顧客の最重要課題への解決策を、カスタマーサクセスが常に持っている」という状況を目指します。

まとめ

ここまで読んでいただいた人はPdMやCS的な立場の人が多いかと思います。もしプロダクトアウトした製品に携わっているなら、顧客の事業モデルとの差分が生じていないか定期的に確認するのが良いと思います。AdCentだとa-worksの尖った事業モデルを元にしているので100%一致する企業は少ないです(代わりのいない代理店って宣言もあるし…)。

また、カスタマーサクセスは部署や担当を作っただけではワークせず「サービスの歯車の中感」があるようにしないといけません。今回は料金体系が主たる例でしたが、KPIや運営方法も併せて整備しないと「サポートがカスタマーサクセスと名乗っているだけ」「営業と見分けがつかないカスタマーサクセス」みたいな立ち上げ失敗要因になりそうです。

今後はマーケティングを中心にしつつ、カスタマーサクセスで顧客接点を持つことで実装との差分を埋めていく役割になります(最近流行りのPMMっぽい!?)。発信して面白そうなことがおきたら共有します。

おまけ:参考書籍

任天堂のwiiのコンセプトデザインに携わった方の本。
ゲーム好きなので腹落ち感がとてもありました。

サイズ感が良く何度も読み返したくなる本。
「自分の中に小人が何人もいる」感覚が紹介されていてこれか!となりました。

noteではサラッと「料金体系を変えました」と書きましたが、社内説明やオペレーションの再構築など、決めてすぐに実装できるものではありません。
元USJの森岡さんのマーケティングと社内体制についての本。カスタマーサクセスドリブンな組織づくりをしたい人に読んでほしいです。

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