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東京から那須へ移住しました。不動産のプロが地方暮らしを選んだ理由

これまでの記事:
2021年9末に東京から那須塩原に移住しました。それに至るまでの経緯を以下にまとめているのでご興味あれば合わせてどうぞ◎

・なぜ東京から引っ越したの?
・なぜ那須に決めたの? (前編)
・なぜ那須に決めたの?(後編)

■そもそも郊外で戸建てを持つのは有りなのか?

私は不動産関連の仕事をしている手前、「持ち家の資産価値」について考える機会は普通の人より多いと思います。
那須移住前は東京に住んでいて、中古マンションを購入してリノベーションした住まいで暮らしていました。

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夫婦の好みを反映した住まいをつくったことで、住環境に対する満足度は非常に高かったのですし、個人的には資産価値の面でも悪くない買い物だったと思っています。
基本的なことですが、東京の不動産を「売り物」として見た時は以下の条件を満たしている必要があると思います。

・渋谷, 新宿, 品川, 東京などハブ機能を持った駅まで30分以内アクセス
・最寄り駅から徒歩10分以内
・そのエリアで暮らすであろう家族構成とマッチした広さ・間取り・周辺環境が揃っている
・競合となりうる物件と比較して価格やデザインなど分かりやすい点で優位な差がある

その意味で、もともと住んでいた部屋は、上記条件に合致していて(というか購入時にその目線を持って購入した)、実際に自分たちが売却活動を開始してから1週間で購入申込みを複数の方から頂きました。
また、市場の相場そのものが上昇傾向にあったため、購入時よりも僅かではありますが高い金額で売却することが出来ました。

ただ、上記のロジックが成り立ちやすいのは、中古不動産の流動性が比較的高い、「東京(大都市圏)」✕「マンション」という前提が有ったためで、「地方」✕「戸建て」は、不動産屋のセオリーからすれば「悲しくなるから資産価値とか考えないほうが良い」選択と言えます。

「那須に永住するの?」と周りから聞かれますが、それは考えておらず、5〜10年住んだらまた別の場所に拠点を移す可能性が高いと考えています。そのため、尚の事、「地方で、戸建て買って、築浅で中古マーケットに出しうるとか正気か!?」と思われるわけです。。

■今後も東京集中は続くか

一般論で考えると上で書いた通りですが、新卒で一部上場企業に入社後、2年目の秋に社員数6人のベンチャーに飛び込むくらい博打屋の私からすると、「地方」✕「戸建て」には希望もあると思っています。(ちなみに、当時社員数6人だった会社は、今では160人を超え、上場の鐘を鳴らす経験もさせて頂けました。一緒に働く仲間も絶賛募集中なので、宜しければぜひ!)

不動産の資産価値側面において、これまで期待出来なかった「地方」✕「戸建て」にも希望が持てると思っている理由は、今後東京の一人勝ち状態は長く続かないのでは?と思っている点にあります。

下のグラフは、東京都の人口転出入推移(データ参照:住民基本台帳人口移動報告)ですが、ここ2年弱の推移を見ると東京の人口は減り続けています。
このグラフは30歳〜59歳という、家族持ち割合の高い生産年齢人口に絞って作成しているのですが、ファミリー世帯が東京から離れている傾向が読み取れます。

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きっかけは感染症だったかもしれませんが、それを機にリモートワークが普及しました。すると、必ずしもオフィス近くに居を構える必要が無くなったり、部屋の滞在時間が長くなり居住空間に対して求めるものが変わった結果、より広い家や豊かな自然環境を求めて転居する人も増えていそうです。

交通利便性もエンタメも、教育も東京が抜きん出て便利であることに変わりないと思っていますが、今までより、個人の価値観に沿って住む場所をダイナミックに選ぶ流れはより加速していくのではと思っています。

そして、その環境を前提として考えた時に、これからの時代の不動産価値とは何か?も頭の片隅に置きながら購入する土地を決めました。(勿論それ以前に子供の学校や、スーパーへのアクセスなども前提になっています)

■これからの時代に評価される不動産(土地)とは?

引き続き東京都心部においてはその価値を保ち続けると思うので、ここでは敢えて地方について考えてみたいと思います。

個人的に考える、地方における資産価値の高い不動産(土地)は以下のような条件を満たしていると良いと思っています。

・東京(or 大都市圏)が上位互換出来ない、その土地ならではの魅力がある
・似たような価値観の人が集まるコミュニティが形成されている(or 形成されるような土壌がある)
・モノよりもコトが存在する

1点目はその土地(エリア)が持つ資源の固有性です。例えば那須の場合は、「那須連山(山並みが本当に綺麗です)」「温泉(600年以上の歴史を持つ湯治の地などがあります)」「酪農(生乳生産が本州No.1)」辺りが固有資源として挙げられます。そして、これらの資源は、東京に取って代わられることのない、那須ならではの魅力でもあります。

2点目に挙げたコミュニティについては、特に目新しいワードでは無いと思います。ここで検討したいのは、コミュニティが価値になる、という点です。
個の多様性が尊重され、画一的な型に嵌ることを良しとしない風潮になりつつある昨今において、自身と近しい価値観を持った人たちがあつまるコミューンがあることは、その価値観を持つ人にとって非常に高い価値になるような、これまでとは異なる評価軸が生まれてくると考えています。

最後の「モノよりコト」は、人の価値観が消費から体験へとシフトしていることと関連しています。今の時代、基本的にはネットがあれば大抵のモノは手に入ります。モノを手に入れて満足する時代から、喜びや感動などの経験を得ることが幸せに繋がる時代になりつつあります。上の2点に関連しますが、その土地ならではのコトを得られやすい場所ほど、資産としての評価が高くなるという時代がやってくるかもしれません。

■私が那須で戸建て暮らしをしようと思った理由(まとめ)

那須には、ここならではの資源があります。
それを存分に楽しめるような場所で、近しい価値観を持ったコミュニティを作れるような家を手に入れることが、人生の豊かさとしても、不動産の価値としても最善の方針と考え、那須に戸建てをつくるための土地を購入しました。

・国が指定した「国民保養温泉地」に選定されている温泉地まで車で15分ほど
・250坪という纏まったサイズの土地で、気の知れた友人を呼んでも窮屈に感じない居室や庭を作れる(BBQしたい。天体観測したい。)
・重要文化財に近接していて周辺は丁寧に管理され、部屋からの景色は近くの美術館の林を借景とできる環境

上記のような条件の土地を運良く見つけることが出来たため、土地の購入を即決し今に至ります。
ここからは自らの手でこのエリアをより耕していけたらと思っています。

■この先書いていきたいこと


今後は以下のようなことも綴っていきたいと思います。

・東京の持ち家を売却した時の話
・移住にあたっての会社(や、上司)の反応
・子供への影響
・地方での暮らしは経済的にメリットがあるか
・家づくりの経過
・・・

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