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【読書感想】私にとって一番実用性があった本ーー『アカデミアを離れてみたら』を読んで

朝日新聞の書評に載っててこれは読まなくては、と思って読んでみた。

 博士号を取った人がアカデミックな現場を離れて就職した過程が調査されて書かれている。理系出身の人が中心と思われる。プロフィールを読むと東大、京大出身の人が多くてちょっと疑問に思ったが、まあ参考になった。

 政治家になった人の話は、おもしろいな、と思ったけど、理系で、その分野の企業に就職した人の話は、なんかモヤっとした。研究者専門の就職活動を応援してくれるリクルート企業に行ったのがよかったとかあったので、理系はそうでしょうね、と思った。そんなのもあるんだ、と思って、いつだかのぞいてみたけど、文系には結構厳しかった。

 というか文系の人って、大学院まで行って、なにか専門的な知識は?と聞かれた時に、フランス文学の誰という作家のなになにの作品、とかいっても、狭すぎて応用効かなくて、ただただ、語学力があります、としか答えられないんじゃないか、とずっと思ってきたが、まあ、そうだよね。文系の大学院に進むということは、かなり絶望的なことなんだ、と私は今更すごく思う。語学系で攻めていっても、実務で使ってきた先輩方が、すごく敵対心を持って、お前の語力は実務性がねえだろ、っていう姿勢で面接するのは何故だろう、と私は思う。

 大学ではなく義務教育課程の教師になった人もいて、そう考えると教職取っておけばよかったなーとか思ったが、私は、研究者になるつもりはなく、何の用意もなく大学院出て、学芸員になるっていって就職活動して、その狭き門をくぐれなくて、失敗したんだな、と思った。

 でも、だいたい、院出て、一般企業に就活するという人は、みんな、長い学生生活のあいだに、結婚、出産があり、それで就職という感じが見受けられた。

 ていうか、日本の社会で、大学院生って肩身狭すぎる。結構、在学中は闇の世界を見てきたつもりだし、それ見て、辞めることを決意して、悪戦苦闘してる私としては、なにも申すことはないんだが、現在も、大学という組織に残っている人は、果たしてどれだけの人が、学者になれたんだろうか、とちょっと思う。怖くて聴けない。けど、すごく応援しているに変わりはない。まあ、私の知り合いも、博士課程満期単位取得でようようと退学し、学芸員になると言って辞めていった私に、今どうしているのか、同じように、聞けないのかもしれないと思った。

 でも、今でもたまに思うけど、世間体は、死に物狂いでアカデミズムにしがみついて、籍おいて、なんとなく安定してそうな社会的身分でいた方が、社会からの冷たいまなざしに晒されないで済んだよな、とは思った。

 将来のことはきちんと計画たてましょう。

 こういう本珍しいから、やはり、noteで紹介しておこうと思って、アップした。ポスドクの人がどのくらいの就職率なのか、とかデータ化されているのは良いと思った。

 文系の人はどうしてるんだろう、と疑問が湧く。どなたか、教えて下さい。


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