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小宇宙、わたし。あなた。

大学の友達はみんな、内側に宇宙を持っている。

芸術系の大学だからなのか、他でもそうなのかはわからないけれど、人の頭や心の中を覗く機会がたくさんある。
描いた作品は人前で発表しなければならない。作品について話すということは、イコール自分の考えや価値観、またそれらを育んだものの鱗片を他人にさらけ出すことだと、わたしはそう解釈している。だからそれほど話したことのない人でも何となく人となりを知っていて、その知っている部分というのはかなりディープなところなのである。そう考えるとなかなか愉快な人たちに囲まれている。

友達と話していて興味深いなと思ったのは、みんな自分の中の宇宙に気が付いていないというところ。
考え方や視点が面白い、作品のこういうところが好きだということを伝えると必ず驚かれて、
「いやいやそんなことないよ」
「自分は個性ないからさ」
「こんなの普通だよ」
と言われる。
「個性がないこと悩んでいるんだよね」とポツリ呟いたのを聞いたこともある。
そう言われると逆に驚く。いやいや、あなたの宇宙さん丸見えですけれど。何ならこちらに手を振っていますけれど!
どうやら自分で自分の宇宙に気が付くことはかなり難しいことらしい。

では、こんなことを書いているわたしはどうなのかというと、わたしも自分の宇宙のことを全く知らない。
人から面白いねと言われるとやっぱり驚いて、いやいやそんなまさか、面白いなんてことはございませんよ(褒め言葉はとても嬉しいけどね、へへ)と思ってしまう。
人の絵を見てそんな考えもあるのかと感銘を受けて、注意深く真似をしたとしても、やっぱりもくさんの絵だねと言われる。その人らしさというものはどうやっても表へ出てきてしまうらしい。それを自分は知らないだなんて、なんだか少しもったいない。

自分で自分の宇宙を認知するには、人から貰った言葉や評価をパズルピースのようにしてどんどんと繋ぎ合わせていくしかない。作品であれば人の絵の横に並べて比較して発見していくしかない。とにかく比較をする、自分の中だけに留めないということが必要で、日常の中でそれを行うのはなかなか難しい。でも自分の宇宙を知ることができたとき、そのときはきっと心が豊かになるだろうなぁと思う。

それにしたって人の宇宙を覗くのはとても楽しい。違う宇宙の輝きを知ったとき、わたしの中でビックバンに似た何かが起こって世界が広がっていく。
そして、わたしの普通やあたりまえもまた、誰かにとっての新しい発見やビックバンに繋がっているのかもしれない。
そうであるならばドンドンと表現をしていって、また人の表現したものに心を動かされたのであればそれを惜しみなく伝えていって、そんなことを繰り返していつしか小宇宙が大宇宙になったらいいな。


おしまい🌎💫

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