【読書記録】漫画方丈記
感想
目先の物事に捉われて、人と比べて生きることには意味がない。
人と比べるから不安になり、物足りなさを感じ、幸せから遠ざかる。
「とかくこの世は生きづらい」と言う鴨長明の言葉は、今にも当てはまる。
家の大きさ(財力と権力)で競い合うことが普通だった当時に、「こんな生き方もあるよ」と示した鴨長明の生き様には、格好良さと人間臭さを感じて、とても好きだ。
鴨長明は出家した身でありながら、気が乗らないときは読経をサボる。
そして、自分が好きな音楽で、好きな時に遊ぶ。
「誰かに見られてるわけでもなく、誰かのためにというわけではないから、好きなようにやって自分で楽しむだけ」という鴨長明のような生き方に、羨ましさを感じる人も多いと思う。
「ものを知れば知るほど、世界は味わい深くなる。」と言うこの本の言葉は素晴らしいものだと思った。
便利なものにすぐに頼るのではなく、自分の身体を使って体感することで、余計な気苦労から解放されて、幸せを感じられる。
「三界唯一心」だ。
最後に鴨長明は、「この世俗から解放された静かな暮らしを愛しているけど、これも執着なのでは?」と悩む。
結局、人はどうあっても悩むものなんだと思う。
ただ、その時々で、必死に考えて、人に流されずに自分の生き方を見定めることが大切なのだと、方丈記を読んで考えた。
あとがきの養老孟司さんの「鴨長明の自足の思想がこの本で一番大切なこと」というのが印象的だった。
物はなくても、自分が満たされているなら、それでいい。
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