見出し画像

優れた注意の集め方

ものが溢れる時代、どんな店に行っても様々な商品が所狭しと並んでいます。
色鮮やかなパッケージ、補足説明をしたPOP、それぞれが購買意欲を高めようと自己主張をしています。
その中で人はどこに注意を向けるのでしょう。

人の五感が認識に与える割合は均等ではありません。
視覚が最大の影響力を持っていて87%、大きく開いて聴覚が7%、更にそこから半分を切って触覚が3%、嗅覚が2%、味覚が1%と続きます。
こう見ると、視覚に影響を与えることができれば8割以上の注意を集めることができると思ってしまいますが、そうではありません。
感覚において占める割合が大きいということは、様々な刺激に意識が向っており、注意散漫な状態になっているのです。
言うなれば視覚は感覚器のレッドオーシャンです。
頑張って目立たせようとしても、皆がこぞって目立たせようとする為に瞬間的にしか意識してもらえなくなるのです。

意識が向っていないものからの刺激は、大きな印象を与えます。
ナイフを持った人が現れた。
大きな悲鳴が聞こえた。
肩を叩かれた。
なんか臭い!
口一杯に不味い味が広がった。
突然だった時に、驚きが大きいもの、瞬間的に反応してしまうものはどれでしょう。
驚きはしても少し様子見をしようとしたり、正常化バイアスが働くもの、反射的に対処しようとして動いてしまうものと言った対応の速さと認識に占める割合の高い感覚器は反比例するのではないでしょうか。
比率の低い感覚ほどより個人的なもので、高い感覚ほど周囲と共有しやすくなります。
結果的に危険性の判断を外に求めるか、暫定的な対処で身を守るかの差が出て来るのです。

この感覚器の反比例は商品を売る時に注目を集めるのに役に立ちます。
視覚がレッドオーシャンなのは前述の通りですが、聴覚も同様です。
店内音楽と紹介動画のBGM、人のざわめきと説明の声のように同種のものは紛れてしまいます。
スーパーで試食をするのは非常に効果的で、五感全てに訴えることができます。ただ、全てのもの、全ての売り場が試食できるわけではないのです相性もあります。

試食でわかるように、五感をどこまで多く使わせるかが注意を集める大きなポイントになります。
人の五感は少なからず連動していますので、梅干しを見れば酸っぱい味を思い出しますし、カレーの匂いを嗅げば味を思い出します。
試食はさせられないけど、肉を焼く音を流すことで、頭の中でステーキの映像を想起させる、香りを流すことで味を想起させるというように、一つの感覚器を通じて複数の感覚器にアプローチすることでより強く注意を引きつけることができます。

一番簡単に作れるのは視覚にアプローチする販促施策ですが、どんな目的で、どの感覚器に連動しているのか。
これを考えると、一段上の注意を集めることができるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?