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後出しブランディング

ブランディングとは、顧客に提供する価値を明確にし、然るべきメッセージと共に伝える手段です。
その名前を負っている商品には共通する価値を提供している、だから顧客は安心して買えるのです。
多くの有名ブランドは長年の信頼を勝ち取って現在の地位を築きました。
そんなブランディングの手法が分析され、今では当たり前のように「新規ブランドの立ち上げ」という言葉が登場します。
理念や、顧客価値や、メッセージや世界観を作り込んで、ヨーイドンでブランドが世の中に解き放たれます。
いきなりスタートダッシュに成功して認知を広げるものもあれば、地道に少しずつ知られていくものもあります。
もちろん知られることなく消えていくことも少なくありません。

マーケターはいつの頃からか、ブランドというものを売る為の手段の一つとして考えるようになってはいないでしょうか。
製品の魅力が伝わりにくいからブランドを立てましょう、会社を知られていないならブランドで認知を広げましょう、イメージを変える為に新しいブランドを作りましょう。

ブランドは企業の商品と顧客の購買行動を繋ぐ約束です。
ある意味、契約書のような存在です。
長年の信頼関係が仕組み化されて契約書という形になることと、仕組みとしての契約書を最初に交わすことには大きな隔たりがあります。
信頼関係のない相手との契約書に大きなものを載せることはできません。
軽い価値交換の為の軽い契約書は、信頼関係の構築とは異なるのです。

ブランドは商品の弱さを印象によって肉付けするものではありません。
ふわっとした顧客価値を世界観で飾って完成度が高まったかのように見せるものでもありません。
顧客に提供する約束と、顧客からの信頼が交換された証なのです。

近年においてブランディングは非常に重要です。
重要ですが、果たして最初から構築されているブランドにどこまでの意味があるのでしょうか。
顧客に寄り添って少しずつ変化していく、そんな後出しのブランドこそが実は本当の意味でのブランドなのかもしれません。

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