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上澄みではなく骨髄を

パクりは嫌われますし嫌がられますが悪いことではありません。
特許侵害や不正競争防止法に抵触するなど、法的措置を取られるパクりは論外ですが、リーダーの取る戦略として同質化戦略という言葉があるように、パクりは戦略でもあるのです。

戦略だからと言って安易に使えばいいかというとそうもいきません。
パクって2番手になろうとしても、同じことを考えて2番手になろうとする無数の競合と争うことになるからです。
知名度が高いのも1番手ですから、パクった上で自社の強みを盛り込まなければ有象無象の2番手達と共に消え去る運命にあります。

例えば、高級トースターで有名なBALMUDAですが、この製品が話題になってしばらくしてから沢山のスチームオーブントースターが市場に溢れました。
特許を回避して、水の入れ方を変えて、価格を大幅に下げて登場しましたが今では殆ど姿を見なくなりました。

パクる時に重要なのは目に見える上澄みをパクるのではなく、上質な出汁を生み出す骨髄の部分を分析することです。
上澄みをパクろうとしても同じことを考える競合で溢れますし、自社の強みと合わせたアレンジがしにくくなります。
骨髄部分が分かれば、最終的なアウトプットが大きく変わるかもしれませんが競争力が手に入ります。

例えばBALMUDAの上澄みはスチームが出る機能とお洒落なデザインです。
多くのメーカーが真似して失敗しました。
骨髄の部分にあるのは「毎日のトーストが最高の体験に変わること」を期待させることです。
ものではなくてこと、その言葉通りに体験を提供しようとしているのです。
最高のトースト体験という目を惹くコピーに、スチームを駆使した機能、特別感のあるデザインが組み合わされています。
機能的価値と情緒的価値が体験を生み出すために融合していること、ここにこそパクるべき本質が隠れています。

機能×情緒で体験を提供する、この観点で見た時、もはやスチームであることはパクるべきものではありません。
取り組みを丸ごとパクっても、発売する商品カテゴリーが自社と縁の深いもので有ればパクりと思われることはありません。
新たな成功者の一人になることができるのです。

パクりは悪ではありません。
古来から連綿と続く試行錯誤と切磋琢磨の果てにある要素の一つだからです。
ただし安易な上澄みのパクりが失敗することも歴史が物語っています。
パクるなら骨髄を。
この点を忘れずパクりまくりましょう。

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