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売るために書くことに疲れた話

わたしは地方の小さなメーカーでライターとして働いている会社員です。

お客様に商品を買ってもらうために、自社サイトでブログを書いたり、メルマガを配信したりするのがおもな仕事です。

商品開発担当やマーケティング担当から、「これをこう売りたいから記事を書いてくれないか」とか、「このキーワードで検索される記事にしてくれないか」といった依頼を受けて書くこともあります。

「こんな新商品が出ましたよ!」「ここが素晴らしいですよ!」「ぜひ買ってください!」と書いては発信する毎日。そして、それを読んで商品を買ってくださるお客様も多かれ少なかれいらっしゃいます。

ただ、最近はそういう文章を書くことに少し疲れてきてしまいました。
今回はそんな話を書きます。

わたしは文章を書くことが好きだし、自分が書いた文章で何かアクションを起こしてくれる人がいるのはとてもうれしいです。

だから、わたしが書いた文章を読んで商品を買ってくれる人が一人でもいるのは本当にうれしいし、ありがたいし、それがやりがいでもあります。

でも、ずっと書いているうちに「果たしてこれを読んで商品を買ってくださったお客様は本当に満足してくれているのか…?」と疑問を抱くようになってしまったんですよね。


いつも商品についての文章を書くときは、企画書とLPを読み込んで、セールスポイントを洗い出し、お客様に分かりやすく伝わる文章にすることを心がけています。

基本的には実物を見ないで買っていただくことがほとんどなので、入れられる情報はできるだけ入れて、少しでもお客様が商品をイメージしやすいように書いているつもりです。

しかし、恥ずかしながら、書いている本人(わたし)はその商品を使ったことがなく、商品についてほとんど何も知りませんでした…。

もちろん商品のサイズは何センチで、重さは何グラムで、素材は綿で…とか企画書に書いてある情報ならいくらでも分かります。でも、わたしが書けるのはそれだけです。

実際に触るとどんな質感かとか、持ったらどのくらいの重さかとか、使ってみてどうなのかとか、本当は一番伝えなければいけないはずの肝心なことが分からないまま書いてしまっていたんです。

そんな人がいくら「素晴らしいですよ!」「買ってください!」と言ったところで何の説得力もありませんよね。
それに気づいてしまったのが、書くことがしんどくなってしまった理由です。(散々書いておいて気づくのが遅すぎるのですが…)

そんなのは、わたしがちゃんと商品を試して、知って、その上でしっかりと中身のある記事を書けば済む話です。
ですが、前に一度「実際に商品を使ってみたいのですが…」と上司に申し出たところ、「いいけどそこまでしなくてもいいよ」と言われたがあり、ここではそこまで求められていないことを察してしまいました…

もちろんそれは言い訳に過ぎないので、もっとわたしがちゃんと熱意を持って向き合わなければいけないのですが。正直ここでちょっと心が折れてしまった部分はあります…

それでも、中にはそんな内容があるようでない文章からでも買ってくれる人がいたり、狙ったキーワードで検索順位の上位を取ることができたりもしてしまうんですよね。
(それがわたしが書いた文章に関係なく、純粋に商品が良いからだったり、買ってくれたお客様が十分に満足してくださっているのであればもちろんそれでも良いのですが!)

会社としては売上が取れて、検索順位が上がることが目的なので、わたしの仕事はそれでもいいのかもしれません。というか、現状それでよしとされてしまっています。

でも、わたし自身はそういう文章を書いている自分がどうしようもなく情けなく、虚しく、申し訳ない気持ちになってきてしまいました。

今のわたしは、わたしの文章を読んで買ってくださったお客様に自信を持って「ありがとうございます!」と言えません。それに自分が書いている文章もそんなに好きじゃない。全部ではないけれど。

しかし、残念ながら、そんな「中身があるようでない(わけではないけれどあるとも言い難い)文章」はインターネット上に山のように存在しています。

わたしは副業ライターとしても活動しているので、他社の商品紹介文の執筆もいくつかしたことがあるのですが、外注ライターに与えられる情報は社内のライターよりももっと少ないです。せいぜい企画書レベルの情報だけ、LPがあればいいほうです。

社内のライターなら気になる点があれば開発担当に直接確認したり、現物を確認したりもできます。しかし、外注ライターにはそれも難しくなります。

もちろんクライアントに質問することはできますが、しつこく質問してクライアントの手を煩わせるわけにもいかないし、「面倒なヤツだな」と思われて次からは依頼されなくなるかもしれません。

おそらくクラウドソーシングサイトなどで募集されている文字単価数円の外注ライターに求められているのは、与えられた情報の中である程度のクオリティーの文章を書き上げ、きちんと納期を守って納品することなのだと思います。

最近よくあるインフルエンサーのPR投稿なんかにも似たようなことが起こりがちです。

「商品が写っている写真にこのハッシュタグを付けて投稿してください!報酬はいくらです!」というやつですね。

実際に商品をインフルエンサーに送っているだけマシなのかもしれませんが、実際のところ本人が本当に使っているかどうかなんて分かりません。

もちろん、ちゃんと自分で使って良いものだけを紹介しているインフルエンサーもたくさんいると思いますが、写真だけ撮って投稿が終わったらメルカリに出品しいていたとしても分からないので…

PR投稿にくっついているリプライも「今日も素敵ですね!」とか、「似合いますね!」とか…あれで売れてるのかな…と思うけれど、中には買う人もいるんですよね。(弊社でインフルエンサーマーケティングもやっているので……これもまたしんどい)

でも、今まではなんとかそれで商品が売れていたし、人が集まってきていたけれど、きっとだんだんそれが通用しなくなってくるんじゃないかなぁと思っています。

お客さんもどんどん見る目が厳しくなっていくし、本物の意見を求めるようになっているので嘘はいつかバレます。

だから、わたしもそろそろ「商品を売るため(だけ)の文章」を書くことから卒業して、次のフェーズに行かなくちゃいけない。

もっとちゃんと書くことに向き合っていきたい。自分の言葉で本物を伝えていきたい。
自分の書いた文章に愛と責任と自信を持ちたい。

だから、自戒の意味も込めて本noteを書きました。

自分の甘さとダメダメさと愚痴をさらけ出しただけになってしまったのでいつか恥ずかしくなって消すかもしれませんが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

がんばるぞ。

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