見出し画像

【リレー脚本】夏祭りシリーズvol.1「歩む」

著:ぼぶ→山田

【リレー脚本】夏祭りシリーズvol.0の続き。

止まってしまった時間を動かそう。

少しずつでいい、歩を進めよう。

君ではない女性と一緒に。

ああ。

それでも君は待っていてくれるだろうか。

〇登場人物

・男
・女
・男2
・女2

〇後編(山田)

●男2女2イリ

男2「主様―!」
女2「主様―!」
男2「主様―!」
女2「主様―!」
男2「主様―?」
女2「主様―?」
男2「ああコレか紛らわしったらありゃしない!祭りの席くらい出てきたらどうなんですか!」
女2「ですか!」
男2「僕らみたいのにばかり仕事させるから願いが叶ったりもするし叶わなかったりもする神社だよねでもそれっていたって普通じゃおっぱいおっぱいとか言われてうるせえわ!」
女2「せえわ! ごげぼげぼ」
男2「ほらー、君は病弱なんだからー、ねー、可愛い奴めー」
女2「奴め―」
男2「それはさておき主様、約束の御時にございます」
女2「祭りの喧騒の中にあり、確かに響く足の音にございます」
男2「自らの役を忘れた足が、いまその大役を思い出したのかの如く」
女2「足枷を鳴らし」
男2「自らを傷つけ」
女2「それでもなお、この社に至る階段を上がるのにございます」
男2「神に隠され六十の月」
女2「神に拾われ百二十の月」
男2「不肖の使いでありながら」
女2「その御身の御側に居れたこと、誠の喜びにございます」
男2「されどももう、約束の」
女2「その御時にてございます」

●男2女2主様を蹴り飛ばす

男2「しー!」

●男2女2耳を澄ます、祭りの喧騒が聞こえる

男2「聞こえる、がんがんと鳴っている」
女2「頭の中にもそう、鳴っている」
男2「かなしい?」
女2「しい」
男2「僕らにできることは一つだけだ」
女2「それってなあに? なんなのさ」

●男2足を踏み鳴らす

女2「がん!」
男2「踊ることだね」
女2「踊ること!」
男2「ああ、踊ること!」
男2足を踏み鳴らす
女2「がん!」
男2「階段を登るは生きる人の役目。だから人はみな最初、生まれ、落ちるんだ」
女2「ならば生きぬ人の役目は」
男2「そう! 踊ること、舞うこと、自身の大切な生きる人のために」
女2「そうか、彼の人のために舞って、彼の人を待っているんだね!」

●男2が足を踏み鳴らす

女2「がん!」
男2「さあ、踊ろう。彼らも階段を登ってゆく」
女2「がん!」
男2「がん!」
女2「がん!」
男2「がん!」

●男2女2声高に笑う

二人「がん、がん、がががん! がん、がん、がががん!」

●男2女2ハケ
●男女イリ、祭りの喧騒が聞こえる

男「相変わらず、長い階段だな」
女「はあ」
男「ほら、大丈夫か」
女「はい」

●男女最後の段を上がる、祭りの喧騒が遠くなり、消える

男「……」
女「きれい…」
男「ああ。ああ」
女「…」
男「会いたいなあ」
女「…はい」
男「…会いたいなあ、ちっくしょう」
女「…はい」
男「…」
女「一歩」
男「ん?」
女「怖いけど、一歩」
男「ああ」

祭りの喧騒が聞こえる
二人、光の中へ歩いてゆく
遠くから「がん、がん、がががん!」という声が聞こえてくる。

END

ぜひ、他の脚本と読み比べてみてください!!
松田:夏祭りシリーズvol.2「神SUMMER」
大島:夏祭りシリーズvol.3「そして煙草の匂いは残り続ける。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?