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年末、岸田奈美さんから連絡が届いた

ご飯食べるより読みたい

先日開催された「キナリ読書フェス」にて、課題図書『さくら』(西加奈子さん著)の好書好日賞をいただきました。夢か…?

作家の岸田奈美さん主催のフェス。11月の二日間を使って、課題図書を読み、自由に感想文を書き、ハッシュタグをつけて投稿しました。

とても楽しい企画でした。色んな方のnoteものぞき、感想を拝読しました。想いのこもった文章を心に留めるのが、三度の飯よりも好きです。

私は、課題図書の一冊『さくら』に対して異常なまでの愛情を持っていたので、思いの丈をぶちかましました。この本の良さを、少しでも形にしてみたかったのです。(したがって文章構成もぐっちゃぐちゃの極みです)

それから一カ月経った先日。年の暮れ。携帯を開いたら「岸田奈美さんがあなたのnoteを話題にしています」とメールが届きました。朝日新聞 野波健祐さんの選考による、好書好日賞をいただいたようでした。(ほっぺつねる)

ありがとうございます!!!!

受賞よりも知ってほしいこと

嬉しい気持ちもたくさんあります。でも、私が書いた内容は正直どうでも良いです。苦しい時には、本を読んでほしい。その思いが、最も強いです。

「本を読む」という行為は、心に明かりを灯す可能性を孕んでいます。苦しい時、しんどい時、辛い時。少しでも良いので「本」に触れてほしいです。

不思議な話ですが、あらゆる人生の場面において「本」は、その人のそのタイミングに最も適したものが姿を現します。私にとって、それが『さくら』でした。苦しい時、寄り添ってくれた本です。

苦しみを経験しない世界、つまりは、『さくら』に出会わない世界の方が本来なら幸せだったと思います。でも、苦しみは意に沿わずに降りかかってくるので、私は『さくら』に出会わざるを得ない人生を歩むことになりました。

この本が記す文章、空気、匂い、行間。すべてが当時の私を形容しています。読むのすら辛い時もありました。苦しんでいる私を、証してくれる唯一の存在でした。

でも、1年、2年…5年と経った今。『さくら』に出会っていない自分を想像できません。出会えて良かったと心から思っています。苦しみが、コペルニクス的転回によって、何か違った”優しいもの”に変化しました。

「本」は、苦しみを苦しみだけに留めない。あなたが苦しんだことを無下にしない。「”優しいもの”へと方向転換させる装置」のように感じます。

そして、数年経ち、ページをめくると、「あの時」が蘇ります。
当時読み流した部分が心に残ったり、感動した部分に感動しなくなったり。変化も感じ取ることができます。

そして、何よりも。あの夜眠れなかった私や、膝を抱えていた私を、他の誰でもない自分自身で労ることができます。

キナリ読書フェスで『さくら』を改めて読んで、また違った角度から、過去未来現在いろんなことを考えることができました。そして、「苦しんでも間違ってなかったよ」とも言われた気がします。

どうか、多くの本や、言葉が、いま辛い心の中に染み入ることを願い、2021年を始めたいと思います。




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