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冬の色

令和四年十一月十四日(月)
 朝、車の窓には霜が降りるやうになつた。
 まうじき冬がやつて来る。総てのものを白く覆ふ、活き活きとした死の季節だ。
 昔は雪が降る冬が常識ではなかつた。冷たい風が吹きまくり、指先から凍みる乾いた風の吹くのが冬だつた。
 落葉は早くも色を失ひ、土のやうになつては、道の端で朽ち果ててゐる。そこには「白」といふ色の概念が強くなかつた。どこまでも茶・黒・青・灰。今では冬は「白」一色で、光を一面に返して輝いてゐる。死が生き生きとして、私の眼底に張り付くのだ。それから死は、光り輝くものになつた。

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