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自由詩

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今まで書いた詩を雑にまとめています。
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#散文詩

「悲しみに風あれ」

降りはじめた雪の一抹が 君の長い睫毛にかかれば 解けて流れてやがては 君の涙となるだらう …

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「そぞろ、憧憬」

朝日に目が覚め僕は気づいた まうひとりになつてしまつた 涙のやうな軒先の垂水は 凍つて時が…

4

「歩く」

ただに急ぎし道の彼方に なにかを置いてきてしまつた。 背中に君がゐると思つて ふりかへれば…

3

「色ない日々」

澄み渡る蒼天井 色づく稜線さへ 僕の見る目に死んでゐた 六月の灰 アスファルトをたたく雨音…

4

「つゆやどり」

いままさに雨が降ったんだ 君の前では涙など 見せたことはなかったよね 昼下がりの窓辺で 淀…

5

「皆んないつかは」

愛するものが死んだ時には、 自殺しなけあなりません。 しかし同んなじ自殺をしたんじあ それ…

5

「朝陽に微睡む」

ふと見るけふの朝陽は、本当に温かかつた。 窓辺にゐる私の身体を優しく包み込むそれは、 まうゐない筈の、彼女の言葉を憶ひ出す。 青空のあひだを翔け抜ける雲々は、 刻の流れの冷徹さを知らせる。 あつと云ふ間に雲は流れて、 あつと云ふ間に日は暮れかけて、 あつと云ふ間に、人は死んでしまう。 とつくに解りきつてゐるはずだのに、 やつぱり心がちよと辛い。 ただ、悲しみに冷え込む夜にも、 いま、かうして陽が差した。 大丈夫、ちやんと生きるから、 だからあと少しだけ、 この温かさのなか

「同じものなど」

またもや違ふ秋が来る 変はり始める山の彩り 指先から伝ふ風の冷たさ 思ひ出されるあの日々と …

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