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「そぞろ、憧憬」

朝日に目が覚め僕は気づいた
まうひとりになつてしまつた
涙のやうな軒先の垂水は
凍つて時が止まつてゐた

吐く息さへも真白く上り
けれどもあの雲には及ばず
あとに残るはどこまでも澄みきつた
蒼いあをい空だけ

君が笑へば春が咲き
君が歓べば夏の風
君の優しさに秋が色付いた

君をなくしていま思ふ
ふたり歩き続けてゐたことに
まう一回、雪よ降り積もれ
僕の悲しみのごとく深く

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