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自由詩

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今まで書いた詩を雑にまとめています。
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記事一覧

『醒めないやうに。』

安らかな笑みを浮かべて眠るあの人は、 春の野原に一人でタンポポの隣りに立つて、 決して散ら…

9

『届きますやうに。』

丘のうへの鐘が遠鳴りする真昼間の静寂、 その音が躓いたあなたの膝の疵口に届きますやうに。 …

10

「とり残されないやうに」

雪の結晶を拡大すればあんなに奇麗だなんて、 教えてくれてゐたならば、きつと私は良い子でし…

10

「踊らされないやうに。」

あの頃奇麗だつた踊り子の衣裳も、 もうすつかり青ざめてしまつて、 月の凪い夜だけならとこつ…

9

「留め処」

時間はなぜか、停まらないけど 君のことだけは、忘れたくないから ずっと端から、気づいてたん…

7

「薄墨心象」

いくつかの灰色の雲がありました それは風景のやうに流れ 時間のやうに留まるのです とつくに…

7

「君の沙」

忘れるなんてできるかよ 君を思い出にしたくない 夏を目の前に散った  僕の知らぬ間に逝った 君に見せるために書いてた 詩や言の葉の数々も 今となっちゃ行く宛てのない 塵屑のようだ 雲に見え隠れする月が僕の影を揺らした 消えないように街灯を探して 真昼間を装っていた どうかすべてを洗う砂時計よ いまだけ全部停まれ 零れ落ちた君の砂粒を できれば戻してくれよ 文字さえ書けりゃいいんだろ 報われなくてもいいんだろ 僕を変えてくれたのは君なんだ もう全部終わりだ  このまま

「花泣かせ」

今日を生きていくうえで大切なことがあった もうどうでもいいんだ 桜の花びらは散った 悲しむ…

10

「雨やいづくに」

 よく雨が降つてゐる。  うす暗い午前の、暖かい室内はどこか異世界のやうな雰囲気で、  そ…

6

「剥離」

7

「better day」

うつら目覚めたら、まだ眠い 時計は日曜午前七時 迷わず目蓋が抱きしめあつて また本日も朝は…

4

「明白」

 命はいつか失はれる。そんなことは知り尽くしてゐたはずなのに、心はいつまで経つても霽れな…

4

「悲しみに風あれ」

降りはじめた雪の一抹が 君の長い睫毛にかかれば 解けて流れてやがては 君の涙となるだらう …

5

「そぞろ、憧憬」

朝日に目が覚め僕は気づいた まうひとりになつてしまつた 涙のやうな軒先の垂水は 凍つて時が止まつてゐた 吐く息さへも真白く上り けれどもあの雲には及ばず あとに残るはどこまでも澄みきつた 蒼いあをい空だけ 君が笑へば春が咲き 君が歓べば夏の風 君の優しさに秋が色付いた 君をなくしていま思ふ ふたり歩き続けてゐたことに まう一回、雪よ降り積もれ 僕の悲しみのごとく深く