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自由詩

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今まで書いた詩を雑にまとめています。
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2022年9月の記事一覧

「言葉と心、星と月」

幾重もの言葉を紡ぎました。 意味を成して世々を往つたのは ほんのわづかになりますが、 その…

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「風涼しげに、秋」

悲しむ間も無く秋が来る 風に肌さす冷たさ宿り 虫も草葉に斃れ伏す ここからいよいよ草は 赤…

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「夏の青」

嵐が過ぎて雲間から 美しい青がのぞいたけど 今になってやっと気づいたんだ 夏の青さがとうに…

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「そろそろ秋」

 坂を転がり落ちるがごとく、夏の陽とく落ちぬ。日高きころは汗あゆほどに夏を感ずれど、入り…

2

夏の小径

まうじき枯れるだらう 夏の小径をひとり歩いてゐた 小石、エノコログサ、飛蝗 ねつとりとした…

4

盆の夜の海

寄る辺なき小波の音が いくたび響く盆の夜に 障りなきため息ほどの 波風や頬に涼しく 撫でる砂…

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「追伸、地の君へ」

いつだつて頬笑んでゐた そんな訳はないが 春風に、夏影に、秋晴れに、冬空に 君の笑顔が浮かんでゐる。 でも今はただ風に揺れる 空つぽな雲だけが浮かんでゐる。 鳥さへも飛び去つた 夕暮れに雲だけが浮かんでゐる。 遠雷を稲光らせる あの恐い雲になりたい。 野を分けて日を隠らす あの怖い雲になりたい。 古ぼけた民屋を吹き飛ばす あの恐い風になりたい。 命の電線を引き散ぎる あの怖い風になりたい。 さうして君に気づいてほしい。 でもほんたうは、 君の頬を撫でる夏の風になりたい。

「詩のない日」

暮れゆくけふの日の中にも 確かに思ひ出があつた。 吹く風の匂ひだとか 往く雲の種々の形だと…

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「夜光」

カーテンが膨らんで 春がやつて来た 部屋の隅ひとりの 僕の頬を撫でた 真昼なのに花の色が …

5

「我ら詩人は」

我ら詩人は蒲公英です 陰鬱とした詩情を抱へ 常に陽光を浴びつづけ 爽やかな花を人に見せます …

6

「君待ち」

朝、目が覚め眠つた 僕は待つてゐる 陽の射す外を恨んだ 頬が冷たくて 夜になつて起き出した …

5

「ちいさな国産み」

傘から雨水がたれて落ちる 電車のゆかに揺れ動く 水たまりは僕の世界 むかしふたりが国を産ん…

11

「星月夜のしたで」

誰かが死んだ夜があつた。 その時でさへ、空はあんまり美しい。 僕が死ぬ夜も、君が死ぬ夜も …

5

「秋夜」

秋の嵐は夏を殺した。 火照つた頬を冷やし 夏の残りを吹き消してゆく。 綿毛の失せたタンポポのやうに どこまでも頼りない空。 たまに煌めく遠鳴りの雷光が 夜を昼に戻さうとするのだ。 優しい月明かりを犯して 頼りなく立つ僕を曝して 嵐は嵐で生きてゐた。           令和二年十二.十一金