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盆の夜の海

寄る辺なき小波さざなみの音が
いくたび響く盆の夜に
障りなきため息ほどの
波風や頬に涼しく
撫でる砂浜さらさらと
幼き頃と同じ音で
月だけまろくなお白く
海にミルクを注ぎ入れ
ゆらめく水の周波数を
私の鼓動は合わせるように
とくとく時をときめかせ
けれども海は穏やかに
魂の還りをもてなしている

今日は盆の夜
ただの静かな海でなく
私ひとりがいるのでなく
波だけ音を鳴らすでなく
だからといって
還る魂が視えるでなく
海の静寂しじまがあるだけ
やんわり握る手の砂だけが
ほんのり温い それだけ

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