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むうです。

私には大切な人がいる。
父方の祖父だ。

当時父、母、祖父、私の4人で住んでいて
共働きだった両親の代わりに
祖父がいつも傍にいてくれた。
私は<おじいちゃんっこ>なのだ。

祖父は戦前の生まれ。
戦後私が住んでいたエリアを人が住めるようにしたそうな。
※団地と言うそう。

長く自治会長をやっていたが
いわゆる親分という感じじゃなく、ほんわか系。
頼れるような、ちょっと抜けのあるような。
そんなチャーミングな人だった。

早くに奥さん(祖母)を亡くし、
悲しみに暮れていた頃に生まれたのが私。
それはなんだか、祖父を救うようなタイミングだったと母は言う。


祖父は私を大切に思ってくれた。

幼い頃は
出かけて留守にしたら必ずお菓子のお土産、
旅行ならキーホルダーを買ってきてくれる。

好みじゃないと思うこともあったけど、
私の存在を忘れていないことが当時嬉しかった。

アシスタントを始めた時も
辞めた時も。

実家から東京へ帰る時、
「またね」と握手してお別れしたが
自転車で追いかけて来てくれ、
帰りのバスを2人で待ったこともあった。
※その時90歳を過ぎている。凄い。


あの時、結構辛かったんだよね。
それを察してか、追いかけ傍にいてくれた。
びっくりしたし、ちょっと恥ずかしかった。

けど、祖父の優しさがめちゃくちゃ心に染みた。
あれは忘れられない。

結婚式にも出てくれた。
お酒を飲んで、真っ赤になった可愛い笑顔。
3人で撮った写真は宝物だ。


やっとおじいちゃん孝行みたいなことが
出来た年、
「容態が急変した」と母から連絡が入る。


98歳。
覚悟はしていたが、もう長くはないとのこと。


私は実家へ飛んで帰った。


つづく

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