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ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか ー 熊谷徹

熊谷徹 ー 早稲田大学卒業後、NHKに入社。ワシントン支局勤務中に、ベルリンの壁、米ソ首脳会議を取材。その後、フリージャーナリストに転身し、ドイツ・ミュンヘンに在住。近代ドイツ史に精通したたくさんの著書を出版している。

著者が29年のドイツに定住して感じたことは、金銭的に測ることが出来ない価値を見出していることだ。その価値とは、「豊かさ」である。

ドイツと日本は、どちらも物づくりに強い経済大国である。しかし、その働き方には、ほどの違いがある。

⒈サービスの違い

ドイツ・・・基本的に有料(サービス砂漠)

日本・・・基本的に無料(おもてなし大国) 

背景には、文化の違いが生じている。

ドイツ・・・見た目を気にしない。強烈な個人主義。外見よりも中身を気にする

日本・・・世界でもトップクラスの贈り物大国。強烈な顧客中心主義。外見も中身も気にする

これからは、ドイツ視点から見た日本を述べていきたい。

ドイツには、「閉店法」という法律がある。

閉店法・・・平日夜8時以降と日曜祝日は店を開いてはいけない例外は、ガソリンスタンド、薬局、空港、大きな駅の売店

➡️そもそもドイツは、この法律があるのでサービスの過剰という言葉も存在しないのだ。

日本では、店員が客の立場を考えて行動している。「自分がお客様だったら、こう感じるのではないか」と先回りして考えている。

ここで日本のサービスに関して一石を投じたい。

①日本のおもてなしは客にとっては素晴らしいことだが、サービスを提供する側にとっては、過重な負担になっているのではないか。

②もしそうであるとすれば、日本の労働条件は、サービスの手抜きをしているドイツよりも、悪くなっているのではないか。

この解決策は、サービスへの期待度を下げることである。

日本人は、偏見により、サービスへの期待度がかなり高い。だから、接客態度やサービスが細かい所までいっていないと不安に思い不快感へとつながってしまう。期待度を下げることは、容易ではない。しかし、いくらジタバタしても他人の行動や考え方を変えることはできないので、自分の感受性を変えることが得策だ。

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⒉価値観の違い

ドイツ・・・静かな環境を大切にする、自由時間

➡️サービスをあえて低水準にすることで、お金に振り回されない生活を可能にするメカニズムがある。

日本・・・大勢の場所に行く傾向、自由時間が少ない

➡️自由時間が少ないことによって生じた心の隙間を、消費によって埋めようとしている。

なぜ、日本では消費を娯楽としている人が多いのか。

➡️ストレスをパーっとお金を使うことで発散しているから。

お金の奴隷にならないための前提は、自由時間を増やし、心に余裕を持つことである。そのためには社会全体が働き方を変え、過剰サービスを減らす必要がある

「日本ドイツの間には、法律や文化の違いがあるので、働き方を比べることはできない」しかし、人間の一生が1度しかないことについては、ドイツ人と日本人に差はない。失われたお金はもう一度稼ぐことができるが、失った時間を取り戻すことは絶対にできない。『新しい通貨は自由時間だ』

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