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藍眞澄
2024年6月5日 08:40
遠い昔、戦争中のお話です。母方の実家は専業農家でした。母は、11人兄弟、5人目にして初めて産まれた女の子でそれはそれは大切にされて育ったようです。戦争中、上の4人の兄たちは戦争に行き、まだ10代の母が兄たちに代わって畑仕事などをこなしていました。薩摩芋を収穫していた時、気づくと小さな子どもをおんぶした女性がいました。「疎開でここに引越してきました。収穫出来ないような小さな薩摩芋をいた
2024年6月4日 07:15
ほんの些細なことなのに忘れられないことがあります。私は卒業した後絵本と児童書の編集だけをする小さな会社に就職しました。当時としては珍しく女性ばかりの会社で社員は10人足らず。加えて印刷屋さんのご実家から編集見習いで派遣されていた一学年歳上の青年がひとり。社長はもと大手出版社S社から独立したのだそうです。それで、ほとんどの編集はS社から出版される書籍でした。人数が少ない会社でしたので、最初か
2024年1月2日 15:42
初めて雅明に会った日、その光景を鮮明に覚えています。雅明は祖母に抱かれて窓の日差しの中で眩しそな目で祖母を見ていました。病院の一室、ベッドで叔母が微笑んでその光景をみていました。私が3歳の頃の記憶です。「もう少ししたらこの赤ちゃんはうちに来るんだよ。」祖母が言いました。真っ白な産着を着たこの小さな赤ちゃんが私の家にやってきてくれる。私は嬉しくてたまりませんでした。毎日毎日赤ちゃんが来る日を待