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2023年詩

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#生活

144「詩」オルガン

144「詩」オルガン

早朝
ラジオから流れるパイプオルガンを
聴いている

こんなに遠くにいるのに
こんなに時間が経ったのに
そのままの心が伝わるよ

ぜんぜん違うものをみていたはずなのに
ぜんぜん違う生活のなかにいたのに
変わってない心が伝わるよ

人々が作り出したものが
人々の生活を変えていっても
心は変えられないんだ

大切にしているものは
変えられないんだね

何百年も経っている音楽が
何百年も経った楽器で

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127「詩」8月9日

127「詩」8月9日

レースに包まれたラピスラズリ色の星
遥かかなたから見たら 宝石に見える
神さまが大切に両手で受け止めてきた

みこころにかなうものに  平和あれ

わたしが あなたがたを愛したように
たがいに愛しあいなさい

祈りをこめて作り上げられたこの星で
起きたこと
起きていること

お母さんが命をかけて繋いでくれた命
心と手間と時間をかけてやっと育った
いつもと変わりない普通の生活の中で
一瞬にして失われ

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101「詩」その路地

101「詩」その路地

その狭い路地には
人人の生活がひしめき合い
心地よい音になって辺りを包んでいる

無造作に置かれた品品から
人人が毎日をちゃんと生きているのが分かる

夕方
ひとつひとつの窓に
時を同じくして灯る灯りを見る

この窓のどこかに
「ほんとうの幸せ」がある 
灯りの色は
ひとつとして同じものはない

お母さんの声が聞こえる
食卓を整え子どもを呼ぶ声だろうか
ずっとずっと昔
恐竜がいた頃さえ
そうしてお

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85「詩」その先に

85「詩」その先に

真っ直ぐに延びた道のその先に
富士山が浮かんでいる

ありきたりの住宅街
荷造り紐のような電線が
見慣れた生活で梱包された家々を
結んでいる

昨日と変わりない時間に起き
昨日と変わりない朝食を整え
変わりない一日が始まる

昨日と変わりなく
真っ直ぐに延びた道を足早に歩き
仕事に向かう

来る日も来る日も
変わりない時間が過ぎてゆく

真っ直ぐに延びた道のその先には
変わりなく富士山が浮かんでい

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