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2023年詩

200
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#感謝

163「詩」きみに

163「詩」きみに

#クリエイターフェス

だれもみんな
命を繋いでくれたお母さんが
いる

だれもみんな
削られた命を託して
いる

軽く小さな身体に
この世の空気をいっぱいに吸って
初めて泣いた
その日の記憶は
からだの中に締まってある

お母さんの背中の温もりは
行き止まった道のその先に
続く空を見つけてくれた

きみが生まれた朝
お母さんは
自分を産んだお母さんのことを
ずっと思い出していた

162「詩」雨の朝

162「詩」雨の朝

#クリエイターフェス

雨が夜のしじまを縫って
街に降りしきっている
街はまだ眠っている

夜が明けるまであと少しの間
雨は
すべての人々の重く淀んだ汚れを
清めていく

目覚めた人々が
小刻みに屋根を打つ雨音に気づく頃
清められた心は
小さな感謝のカケラを見つける

大丈夫
今日は昨日より良い一日になる

小さな感謝のカケラが
すべての人々にささやく

雨の朝

143「詩」初秋に

143「詩」初秋に

いくぶん
空が青さを増して
ずっと高みにいるものに繋がり始める

いくぶん
涼やかな空間が生まれている
樹々が豊かに実るようにと願いを込める

温暖化で季節が
二つになってしまったように思えても
ちゃんと秋はやってきた

田畑が光に包まれる
人々は稲に感謝し光の束を
その土地に住む神様と分け合う

荒れた風雨や灼熱の日差しから
農家の人たちに身を削って守られ
稲は育った

たわわに実った一粒一粒を

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138「詩」空

138「詩」空

仕事が終わって
外に出ると
一日を労うような空が広がっている

僅かだけどお金を稼げたことに感謝し
疲れた足を引き摺りながら
家路につく

空が争いのない地上を祝福し
明日に導いている

武器の行き交う地上では
涙ぐむ人々に
ただ寄り添うことしかできなかった空

悔やむように
茜色に 

33「詩」 置いた場所で

33「詩」 置いた場所で

神さまが私を置いたところで
生きていこう

他のところと比べないで
生きていこう

質素な食事と思う前に
食べられる事に感謝しよう

重く汚い仕事と思うまえに
働ける身体に感謝しよう

神さまが私をこの場所に置いた理由が
なんなのか考えてみよう
考えてみよう