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【みみをすます】

2016年11月20日(日)小樽市民会館にて、養老孟司/谷川俊太郎/斎藤惇夫/西巻茅子/茂木健一郎さんらを講師に谷川俊太郎さんの絵本「みみをすます」を演題に講演とシンポジウムが行われた。

「みみをすます」

何が聞こえてくるか?

・しんしんと降る雪の音。
・鳥のさえずり。
・耳鳴り。

よく聞こえるようになると、余計なことを考えてしまうから、良くないとか。ものと自分との間には、どんなものがあるのかとか。そもそも、聞く耳を持たないような人がいるが、それはいかがなものかとか。

「みみをすます」

何を聞こうとするか?

・子供たちの声。
・自然の音。私は特に月夜の音。
・大好きな人の声。

先生という仕事は、話してばかりの人が多い。だがしかし、教育とは、聞くことから始まらなければならない。話すことが上手な人は、聞くことも上手。

茂木健一郎さんが座長を務めるシンポジウムは、本当に楽しかった。笑った。学んだ。刺激的だった。聞くことが上手いだけでなく、話すことも上手い。もうほんとにすごい!!

コミュニケーションは、格闘技に通じるものがある。単に相手を打ち負かすのではなく、呼吸を感じながら間合いを取る。両者の間合いの中で、双方、満足のいく戦いをする。シンポジウムを北斗の拳で例えると、長兄ラオウが谷川俊太郎さん、次男トキが養老孟司さん、リンは西巻茅子さん、バットは斎藤惇夫、そしてケンシロウが茂木健一郎さんという具合いだ。北斗の拳では、3人とも北斗神拳を伝承しているにもかかわらず、剛拳のラオウ、柔拳のトキ、そして二人の拳を併せ持ったケンシロウがいる。3人の中で一番の才能を持ちながらも、病に伏してしまうトキ。剛拳に憧れを抱くも、最後まで柔の人だった。

授業も、司会も、話し方も聞き方も、、一度身に付いた癖や性質は、最後まで変わらない。どんなに強くなりたい、上手くなりたいと願っても、無意味。知識や技術は向上しても、本質的な部分は変わらない。話を聞けない人は聞けないし、話が下手な人は下手だ。せめて、指導過程を統一したり、モジュールで乗り切ったり、教材で勝負したりする。そして、決め手となるのは、運でしかない。多くの講座やセミナーへ行き、たくさんの師に教えを請い、万巻の書に触れようと、残念ながら、授業が下手な先生は最後まで下手だ。逆に、上手な先生は、どんな教材でも、本当に素晴らしい教材へと昇華させる。学校は、現場でしか育てられないし、チームという言葉を誤解しているように思う。チームティーチング(TT)という技術も、なぜTTをやるのか混迷している。話すのが苦手な先生は、聞くことに徹する環境に配置すべきだし、事務作業が得意な先生は、学年でもそういった分掌を与えるべきである。どんなに努力しても努力しても、本質は変わらないのだから。誰もが茂木健一郎さんのように、縦横無尽な座長を務められるはずもないし、養老孟司さんのような新しい視点も提示できない。谷川俊太郎さんのようにイケメンでもない。でも、3人が3人の持ち味を発揮することで、最高のパフォーマンスを発揮し、最高のエンターテイメントへと昇華させることができる。

学校の音に、、、みみをすます

なんとかしよう。言うことを聞かせよう。子供たちを落ち着かせよう。我慢しよう。静かにしよう。静かにさせよう。あたたかいクラスにしよう。このクラスでよかったと思ってもらいたい。笑い声、怒る声、叱る声、泣き声。。。。

私たちが思い描く教室って、どんなものなんだろう。そんな未来の音に、みみをすます。

指揮官であるまちの長は、まちの教育全体を見渡す。各学校にバランスよく教員を配置する。それこそ地域のニーズに対応するように。各学校の長は、配置された教員の適性を見抜き、完璧を求めず、一人一人の特性を生かした関わりと配置を行う。いまの学校は、一人の教員に多くのことを求めすぎである。部活指導も、教科指導も、生徒指導も、事務仕事も。。とても大きなストレスの中で、仕事をしている教員がほんとうに多い。人材不足ももちろんある。だからこそ、個々の教員が対策をするべきである。講座やセミナー、多くの師に学びを請う中で、自分にはどんな視点が取り入れられるか。むしろ講座やセミナーに出かけずに、笑顔になれるように部屋を掃除したり、床やトイレを磨いたりして自分自身の運を開くことを心掛けた方がいいかもしれない。多くの崩れていく教員は、積み重なる仕事のため、自宅が書類だらけだったり、自分の時間が持てず笑えていなかったりする。教室もゴミだらけ、靴が乱れ、机もバラバラであることが多い。ブロークンウィンドウ現象に見られるように、目に見える環境が、教員自身のみならず学級の運を下げ、悪いことが積み重なっていく。

みみをすます・・・未来の教室の音は、もう聞こえてきている。あとは、そこへどう近づけるか。

忙しい仕事で教室を、学校を駆けずり回る、いや這いずり回る現場。一緒に「みみをすましてみませんか?」どんな音が聞こえますか。どんな声が聞こえてきますか。そして、あなたは、どんな音を聞こうとしていますか。

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