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3皿目 いろんな味が楽しめる、遊園地のような一皿―カフェピット|元気の出るカツカレー

取材で日本全国を飛び回っている編集チームの一員・T郎が、旅先で食べたカツカレーをゆるーく紹介していきます。ご当地ものや地元の名物というわけではありませんが、いつも頼んでしまうのがカツカレー。旅先で食べるカツカレーは、旅の開放感が背中を押す「ちょっとした贅沢」であり、旅の続きを楽しむための活力の源なのです。

二皿目“老舗洋食店に現れた強敵―レストハウス オリアン”はこちら>


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いろんな味が楽しめる、遊園地のような一皿

私たちの取材チームは、秘境といえる山奥や、限界集落と呼ばれる過疎地にまで出かけることもしばしばです。明日の取材のスケジュールだと、お昼はどのあたりにいるか予想して、翌日のお店の目星をつけておくのですが、予定は未定。なかなか思うようにはいかないことの方が多いのです。

この日取材していたのは、世界遺産・熊野古道の一部にもなっている小さな集落、その名も「果無集落(はてなししゅうらく)」。すごい名前ですよね。奈良県十津川村の山中、標高1,000メートルの場所にあり、のどかで眺めも良く、天空の郷とも呼ばれているそうです。

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そんな場所ですから、近くに商店街などありません。お昼ご飯の選択肢は限られます。第一候補、定休日。二つめは寿司屋、どうせなら海の幸より山の幸かな……。三つめ、臨時休業……。えーっと……。
そうやって選ばれたのが、国道168号線沿いで店を構える「カフェピット」でした。

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背に腹はかえられない。いや、腹が減っては戦ができぬ? とにかく空腹を満たすためなら仕方がない。喫茶店だけど、きっとランチくらいはあるだろうと思って行ってみたら、道路沿いに「オムカレー」のノボリが! カレーがあるのなら全く問題ない、そう安心して店内でメニューを眺めてみると、専門店と言っていいほど、オムライスとカレーばかりがズラリ。わたくし、侮っておりました、すみません。失礼しました。これは当たりです。

カツカレーもありましたが、せっかくなので「オムカツカレー」を注文。3回目にして早くも変わり種か、という声も聞こえて来そうですが、関係ありません。もともとオムライスも大好きなのです。

待っている間にあらためて店内を見まわすと、天井が高く木の香りがするロッジ風の造り。テラスには止まり木と餌皿が置いてあり、どうやら山鳥が遊びにくるようです。テラスの先には川が流れていて、眺めも爽快です。

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そうこうしているうちにやってきました、正式名称は「カツのせ」950円。あくまでオムカレーにカツをトッピングしたというスタンスのようです。見た目もキレイで期待が高まります。
さっそく食べてみると、カツは揚げたてサクサク、豚肉は脂少なめ。衣も肉質も軽やかな印象です。
玉子はふわとろ、やさしい味。おしゃれオムライスですね。
カレールーは具は少なめ、色は濃いめ、サラッとあっさりしたタイプと思いきや、口に入れるとピリッとアクセントが効いていて、見た目より主張が強めです。これはスプーンが進みます。
オムカレーには白いご飯を使うパターンもありますが、こちらはケチャップライス、王道の味。
自分のさじ加減ひとつで、オムライスだけ、カレーだけ、カツカレー、カツオムライス、ケチャップライスとカレーのハーモニーと、いろんな味が楽しめる、遊園地のような大満足の一皿でした。


カフェピット
奈良県吉野郡十津川村平谷56-1
0746-64-0425


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