見出し画像

monopoの新たな支社がパリに。プロデューサー友谷朝子が「monopo Paris」を立ち上げるまで。 - Vol.4 「ティザーコンテンツ第2弾」

2023年秋頃、クリエイティブエージェンシーmonopoは、パリに支社monopo Parisをオープンさせる。ロンドン、ニューヨーク、そしてサイゴンに続く5つ目の都市に進出することになるけれど、すごいスピード感じゃない?そもそも、なんでパリ?

「パリでチャレンジしたい」と自ら立ち上がり、monopo Parisのファウンダーとなったmonopoプロデューサーの友谷朝子(ともたにあさこ)さん(以下、朝子)。monopo Londonのコーファウンダーであるアートディレクター/デザイナーのメラニーさん、ストラテジストのマテイスさん(両者、以下敬称略)とタッグを組み、現在ロンドンに拠点を置きながら奮闘中。

3人に定期的にインタビューしながら、この海外支社設立プロジェクトを追いかける。

(インタビュー・執筆:常松亜子)

▼Vol.3はこちら!


ティザーコンテンツ第2弾は映像シリーズ

monopo Paris本格ローンチに先立ち、Vol. 4でご紹介した第1弾のタイポグラフィシリーズに引き続き、3本の映像シリーズがティザーコンテンツ第2弾として現在公開中だ。

朝子:「私たちがカルチャー的に影響を受けてきた世界観、というのを体現できていたらいいな。きっとみんなも知っているようなレファレンスがたくさん入った映像シリーズになっているから、見てくれた人が『これ、あれじゃん!』となってくれたら面白い!ちょっとシュールなショットをたくさん集めて、そこに私たちのバックグラウンドであるフランス、イギリス、そして日本的な要素もたくさん詰め込んだよ」

Daruma’s first date in Paris 🎎🍷

ダルマと七福神の神様が、なにやらパリでデートをしているような、そんな二人の出会い描いた映像は、全体的に謎めいている。朝子は、「古めの日本映画やフランス映画を意識した。両者には構図で物語るようなところが共通点としてあると思っていて。さらにその中に、少しの違和感がある。でも、その違和感については何も説明されていない、そんなイメージ。だから、特に構図にこだわりつつ、間の取り方でも遊んでるよ」と少しだけ明かしてくれた。

朝子:「違和感というのが人の目を留まらせると思っていて。例えば『パプリカ』っていう映画が大好きなんだけど、時にはちょっと気持ち悪いと感じるくらい……そんな違和感というのにトリガーがあると思う。monopo Parisの世界観にはこういう要素がある、というのを表現した。これは、他の2本の映像でも意識したこと」

Les Lucioles, fireflies or hotaru? 🧚‍♂️💫

フランス語で「蛍」という意味の「Les Lucioles」というタイトルに現れている通り、「蛍の光」から始まり、まるで蛍のように舞うダンサーたちを捉えた映像。こちらもまた、とある作品からインスピレーションを受けている。

朝子:「90年代の定番UK映画『Human Traffic』に、レコードストアでの有名なワンシーンがあって。知ってる人が見たら、それインスパイアなのはすぐにわかると思う!私たちのロンドンでのバックグラウンドを打ち出しつつ、『蛍の光』で日本の要素をミックスしてみた。

『HumanTraffic』の実際のシーンの中でレコード屋の定員が『Junglist』というロゴ入りのTシャツを着てるんだけど、ダンサーのひとりが『あのTシャツ持ってるんだけど、着てもいいかな?』って。ノリノリで持ってきてくれた(笑)。みんな楽しみながら撮影に挑んでくれて嬉しかった!自分的には、他の2本の映像に比べたらこれが一番“直球”でわかりやすい。でも、ただただカッコいい、みたいな感じにはしたくなかったから、ちょっとズレがあって面白い、くらいの印象を目指したよ」

ちなみに、撮影が行われたのは「Bone Soda」という音楽レーベルが作った​​「DIJONSS」というイベントスペース。主にレーベル周りの仲間たちがいろんな用途に使用していて、過去には朝子もここでイベントを開催している。わずか半年にも満たない滞在にして、既にロンドンでもいろんなコミュニティに溶け込み、monopo Londonのそれとはまた別に、朝子独自のコミュニティも形成されつつある模様。きっとmonopoの「COLLECTIVE CREATIVITY」精神は、こうしてどこの国でもぐいぐい広がっていくのだろう

A Radio Taiso a day keeps the doctor away! 

日本人なら反応せずにはいられない、あのイントロ。「ラジオ体操って、なぜか日本人はみんな踊れる。(撮影のために)日本人を集めたら、やっぱりみんな踊れた(笑)。これって結構偉大な日本人アイデンティティだなと」と、朝子。フランスの偉大なDJであるBob Sinclair(ボブ・サンクラー)とDaft Punkとしても知られるThomas Bangalter(トーマス・バンガルター) による名作「Gym Tonic」からインスパイアされたという映像は、ご覧の通りラジオ体操がテーマ。

朝子:「『Gym Tonic』はJane Fonda(ジェーン・フォンダ)というアメリカ人のエアロビエクササイズをリミックスしているんだけど、それをラジオ体操で(笑)。フランスのエレクトロニックミュージックは物心ついた頃から一番聴いてるから、それで1本作りたかった。ちなみに編集や音楽で遊んでるからそれなりにポップに仕上がってるけど、音無しで見ると笑っちゃうくらい結構不気味なのもポイント。撮影自体は超シュールだったよ(笑)」

以前手掛けた資生堂WASOの案件でも、日本のカルタを取り入れてみたりしたとのこと。「日本のカルチャーを織り交ぜた新鮮な表現をしていくのが好き。『なんだこれ!?』と目を留めて、ユニークな文化についても知ってもらえたら嬉しい


自社プロジェクトだったからこそ……

まだ設立前のmonopo Paris自社プロジェクトだけに、リソースも時間も限られていた状況での映像制作は、ややチャレンジングだったそう。マテイスは「映像制作はこのリソースではキツいんじゃ」と懸念を抱えていたけれど、「私が『大丈夫!絶対になんとかできるから!』と説得した手前、『言ってしまったからにはやらないと……」という感じだった(笑)」と、朝子。そんな中、今回のキーコラボレーターとなったのがDoP(Director of Photography )のジョー・リプリーさん

朝子:「綺麗に撮れているかどうか、そこのクオリティで全然変わっちゃうから、良いDoPに依頼できるかどうかというのが肝だった。結果、ジョーという素敵なDoPが撮ってくれたおかげで美しい画になった。それからその他の制作まわり、特にポスプロとかで大きく関わってくれたのがPerimetronのプロデューサーのニシ(こと、西岡将太郎さん)。彼がたまたまロンドンにいて、すごく幅広く協力してくれた。非常にありがたいプロジェクトだった

音楽やタイトルカードも、パリ支社のローンチ準備にさまざまな形で携わっている各国のメンバーがそれぞれ担当。「楽しくみんなで作れたのでよかった」と朝子はあっけらかんとした様子で話すけれど、これってクリエイターたちのmonopo Parisへの期待や信頼、そして朝子のプロデューサーとしての手腕があるからこそのことで、誰にでも実現できることではない。ましてや、新たな土地で。

プロデューサー朝子の初監督作品

さらに、実は今回、クレジットを見ていただくとわかるように、3本の映像共に朝子が全体監督を担当している。「監督をやったのは初めてだった。画角とかも全部自分で考えていて。映像の専門家の皆さんにサポートしてもらいながら」とのこと。また、最も意識していたのはユーモア性だと話す。「ユーモアって、クリエイティビティだと思うから。特に関西人の私としては、やっぱりどこかしらに面白さがないと(笑)」。Tyler the Creator(タイラー・ザ・クリエイター)のブランド「Golf le Fleur」のトーンからも、ユーモアの表現方法のインスピレーションを受けているとか。
「自分でやってみて、やっぱり楽しかった!頭の中で想像したものが出来上がると嬉しいよね。もっと作り込みたかったところもたくさんあるから、今後もやっていくつもり。私が監督もやった分、monopo Parisのアイデンティティはより色濃く表現できているはず。面白いと感じてもらえるといいな」

続くVol.6では、monopoのカルチャーでもあるチームフォト撮影について(次回こそは!)をお届け予定。どうぞ、お楽しみに。


monopo Paris Instagram: https://www.instagram.com/monopo_paris/

▼monopo Paris連載・Vol.1はこちら!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?