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依存

「鍵無くしたから探して」「本当に使えないなお前」「今はダルい」が機嫌の悪い時の常套句である彼との交際がもうすぐ3年を迎えようとしている。

特に不満が無かった。機嫌が悪くなければ、大好きといってスキンシップをとる。喧嘩も殆どしないし、周りから見れば「安定」していた。

でも余りにも何も出来なさすぎる。最近ようやく洗濯を干すことは頼めばやるようになった。付き合った当初は料理ができるといって一度だけグラタンを作ってくれたが、それ以降もう彼の手料理は食べたことがない。「君の料理が美味しくて食べたいから」とは言うけど、本当は作りたくないだけでしょ?

そして根本的な問題が束縛であった。私の交友関係に全て関わるようになったのだ。その流れが余りにも自然であるため、誰も初めはその異常性に気付かない。しかし彼が関わると悉く参加したコミュニティを全て抜けていた。ある日彼は言った「だってサークルに行ったら君と一緒にいる時間が無くなる」と。

人にここまで愛されたのは彼が初めてであった。自己肯定感の低さは家庭環境に起因すると誰か言ってた気がするが、それ以上に「結果」がないことによる絶望感から派生したと私は思う。愛された事実を今後も大事に抱えて生きていくのだろう。

そしてこの生活がいつか終わってしまえば、無下に時間を浪費してしまいそうな感覚に襲われる。否、直ぐにでも気になっていた人にアプローチして充実した時間にしていこうとするはずだ。でも妙に引っかかって、沈殿し続けるこの「意識」が

「依存」か。

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