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コロナ時代のオランダ文化芸術セクター

日本のメディアでも、各国の文化支援と日本を比較する記事などを見かけます。ドイツはコロナ時代で国の支援や姿勢が素晴らしいことが目立っていますね。隣国ながらドイツは本当にすごいなーと思います。オランダは、オランダ人にとって実行が可能で納得がいく、独自の対策(本ブログ最後尾の*をご参照ください)を打ち出しています。

さて、オランダの文化支援ですが、政府は4月15日文化セクターに対する3億ユーロ(約350億6,300万円)の追加支援を決定しました。

一般的な経済支援は、個人事業主から大企業までを対象に早い時期から打ち出されています。個人事業主への最大月1500ユーロの無償支援から、納税特別遅延措置、特別追加融資など、様々な経済支援、そしてコロナ危機を乗り越えるアイデアなどが掲載されたページが商工会議所や政府のウェブサイトで公開されました。

個人事業主には多くのアーティストや小規模なデザイン事務所などが含まれていて、彼らはここで申請が可能。これに加えて、国の6つの文化助成団体はオランダのクリエイティブ業界へのダメージを軽減するため、計画されていた助成項目は国際的な内容のものを除きそのまま継続、現在助成を受けたクリエイター達へは、コロナの影響による様々な変更に対して、柔軟で寛容な対応を約束しています。

多くのプロジェクトや展示会などの機会を失ったクリエイターたちにより、通常より多くの助成金申請が行われているようです。クリエイターにとっては、むしろこのコロナの状況が創造性の刺激になっているのでしょう。

オランダではデザイン業界は世界的に有名で多くのデザイナーを有していますが、彼らはコロナの状況を自分たちの働き方の見直しとデザインのこの社会への貢献を新たに考える機会にしているようです。デザインに関するメディアDEZEENが先ほど開催したバーチャルデザインフェスティバルでもオランダ人含む多くのデザイナーたちが将来へのポジティブな姿勢を語っていますし、私の知り合いのデザイナーたちもコロナが私たちに与えた社会的影響には概ねポジティブで良い機会にしていると語っています。

コロナ時代だからできるアートを

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アムステルダム芸術基金では、4月から「スピード窓口」的な部門を開設しました。アートの発表の場であるギャラリーなどのアート期間が閉鎖している今、デジタルでのオーディエンス向けで、4ヶ月以内に内容が完結できるようなプロジェクトに対して特別助成枠を作っています。申請は5営業日以内に処理される破格のスピーディーさ!

デジタルシティ化政策を進めるアムステルダム市では、現在のコロナによる社会の大きな変化から、より多くのクリエイターによるデジタル・イノベーションが進むと期待をかけています。

アムステルダムでは市民の声を反映して議論やレクチャーなどが行われるPakhuis de Zwijgerという施設がありますが、コロナ下での街の文化政策やアート団体、タクシーからジャーナリズムまで、様々な興味深いディベートなどがオンラインで頻繁に配信されています。街の皆が家にいながらも、いろんな業界の市民の状況をシェアできる、素晴らしい機会を提供しており、今後もこのあたりはアフターコロナでも技術やサービスが発展していきそうですね。

アーティストの国際的な活動も支援

外国人が多く住むオランダではクリエイターの国際的な活躍を支援する機関も存在します。DutchCultureではヘルプデスクを設置し、ここでは彼らが支援するプログラム進行中の各国での状況、その国での文化支援についてもまとめています。担当者の連絡先まであり、素晴らしい。

オンラインでサクサク申請、なのにいい感じに個人的

このような支援の申請などは、日本では色々役所に行ったりや申請書類を投函したり・・などがまだまだ多いかもしれません。

オランダでは全てがオンライン。経済支援申請も5分間で記入完了できるほどでした。申請や役所の手続きなど、オランダは大体のことがネットでできるので、これはコロナの時代に大変安心だと感じました。

文化助成では、行き届いた申請条件などの資料がオンラインで完全に閲覧でき、しかも各助成項目ごとに担当者に連絡まで可能です。オンライン上の情報は素敵にデザインされ非常にわかりやすく行き届いているし、日々の状況のアップデートもまめに行われ、国の文化助成団体のクリエイターへのサポートの気持ちを感じるものです。

なぜ欧州は文化支援が厚いのか

長くなってきたので次回はここに関して書きたいと思っています!

*オランダではコロナウィルスによる「インテリジェント・ロックダウン」という対策をとっています。これはフランスやイギリスなどと違い、完全なロックダウンではなく、リモートワーク推奨、できるだけ外出しない、学校は閉鎖、飲食・ホテル、イベントの禁止、ミュージアムも閉館というものです。日本の対策と似ています。この対策開始後から早い段階で経済支援もスタートしています。


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