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大人になって夏休みの自由研究をした話

日々感じる気持ちはさまざまな色で溢れている。暗かったり明るかったり、澄んでいたり澱んでいたり。だから切り取った私の日常世界は雑多ながらも色とりどりのパレットなのです。

マガジンのタイトルを「カラーパレット世界」にしたところで、さあこのタイトルを飾るのに相応しい、最初の記事は何だろうと考えました。カラー、ということで何年か前に“夏休みの自由研究”と銘打って取り組んだテーマのことを思い出しました。

一週間の空の色を調査しよう!

子どもの頃、夏休みの自由研究はうまくありませんでした。「いかに短期間で楽に済ませられるか」に重点を置いていて、それでも重荷に感じていたので毎回なおざりでした。特に研究したいことも思いつきはしませんでした。

けれど不思議なことに、やってみたかった自由研究は大人になってから思いつくものです。

色彩検定の資格を持っています。カラー、トーン、彩度。それらを環にしたスペクトラムのチャート。色によってもたらされる効果。同じ色でも彩度やトーンによって受ける印象の違い。驚く程の色数があって、そのひとつひとつに色記号がついているのです。

自然界にある色を、そのまま色名と照らし合わせて一致させたら面白いんじゃないかな。

そう思いついた私は『大人の夏休み自由研究』と銘打って、毎日の自然界の色彩を記録観察する事にしました。夏らしさを感じられる素材として、研究対象は空にしました。

研究内容と研究方法は以下の通りです。

テーマ:一週間の空の色を調査する
目的:セルフで自由研究を敢行し、夏休み気分を高める
調査方法:毎日の空を携帯端末機器で撮影し(時間帯不問)、カラーチャートと照らし合わせて色名を特定する
期間 : 一週間

※日本古来の色に興味があるので、暦生活さんの「にっぽんのいろ カラーパレット」を参照させていただきました。


やってみよう!

【8/5 1日目】

雲ひとつない。少し色味が違うけれどざっくりと「み空色」に分類。とてもとても暑い。

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一日目はちょうどお昼ごろの時間帯でした。玄関を出てすぐ、アパートのニ階の廊下からスマートフォンのカメラで撮影しました。今更ですが、携帯端末のカメラ機能ってとても便利です。
暑かったけれど、爽やかな風が吹いていたのを覚えています。後でカラーパレットと照らし合わせて、実際に写真と近い色を初めて見つけた時は妙に感動しました。



【8/6 2日目】

早朝。左側の暗いほうは留紺色。明るいほうは東京白茶。

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まだ空が白み始めた頃でした。夜と朝の狭間。きれいなグラデーションに、これはいいぞと撮影したのを覚えています。わざと異なる時間帯、異なる場所で写真を撮ると色々な表情の空を捉えられて楽しくなります。カラーパレットでぴったりの色も見つけました。嬉々として友達に見せたところ、「東京白茶って、高級なお茶みたいだね! 」と言われました。

【8/7 3日目】

“「水曜日、水平線に沿って進む。感覚は水色」”

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水曜日でした。“いかにも夏”な入道雲。後々よく見るポピュラーな空色だということが分かりました。「水曜日、水平線に〜」は私の好きなミュージシャン、崎山蒼志さんの歌の歌詞です。

【8/8 4日目】

この色難しいな。天藍に灰青を足した感じかな。

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濃くてちょっとだけ深みがかった色合い。午前11時くらいでした。一色では表現出来ないような色合いだったので、二種の色名を挙げました。これらを混ぜたような空色です。それにしても、日本の色の名前ってとても美しいですね。

【8/9 5日目】

バタバタな一日であっという間に夜。空の写真撮ってない! と思ったらロッテの看板を撮った時にちゃんと空も入っていた。やった〜

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ここからの三日間、すごく活動しています。この日は空の写真を撮るのを忘れそうになりました。実際忘れていて、空を撮影するつもりではなくてロッテガムの看板を撮ったらついでに空も写っていてラッキーという感じでした。夕方。色合いも光の加減もエモーショナルな雰囲気です。

【8/10 6日目】

くり抜かれたる空色はいとあざやかな金碧珠

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お洒落なアパートの、コンクリートのまあるいデザイン穴から綺麗な色の空が覗いていました。色の対比と、人工物/自然の対比。「金碧珠」とはなんとも綺麗で清々しい色名です。

【8/11 7日目】

自由研究最終日。あまりに暑かったのでコンビニで途中休憩しながらガラス越しの空。

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忙しい日の最終日夕方。自由研究の最終日と重なりました。この一週間空の写真を撮った中で、私が思うに一番普通のありふれた感じの空。色も薄めです。でも、ノスタルジーな感じのアパート群と合わさって良い感じの写真になりました。


自由研究を振り返って



とても張り合いのある一週間でした。空の色の多様性を知ることができましたし、毎日空の写真を忘れずに撮るという緊張感と空を意識する習慣が普段と違う日々を感じさせてくれました。一週間という期間も長さ的に丁度良かったかも知れません。そして、日本固有の素敵な色の名前を知ることができたのは収穫でした。
多少のズレはありますが、音階と違って色なら自然界のものに近いカラーを見つけ出せるということを知れたのも良かったです。

この企画、毎日Twitterに上げていたのですが、日々フォロワーさんの誰かしらが反応してくださったり感想をくださったり、「みんなを巻き込んでやっている感」も嬉しくて、私のなかではちょっとしたお祭りでした。


あまりのんびりと過ごせた夏休みではなかったのですが、「自由研究」をしていることによってとても“夏を過ごしている”感覚がありました。
大人が自主的に夏の自由研究をする、というのは割と夏を楽しく過ごす秘訣なのかもしれません。

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