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【短編小説】夜行バス

#夜行バス #短編小説   #ファンタジー   #フィクション #バーチャル空間 #バーチャル医療 #セルフメディカルチェック #スマートウォッチ

本日は、日曜日
日曜日はアニメ三昧の日ですが。
申し訳ありません、毎月1日は小説の日という事で、
小説を仕上げておりました。
なんとか今月も投稿できます。

なかなか思うように書けていませんが、
お時間のある時にお読みください。

今回はバリバリ???
ファンタジー???
書いた本人もよくわかっておりません
今回は約6500字です。

夜行バス

テレパシー

今日も0:00ちょうどに夜行バスは発車する。
私は10分前にバスターミナルに到着した。
バスターミナルには1台のバスが止っていた。
私はいつものバスだと思い、
そのバスに乗り込んだ。

私はチケット番号の座席を探していた。
座席を探していると運転手が

「お客様のバスはこちらでありません
 お間違えです」


そう言われたので、降りようとした時だった。
運転席から3番目の中央で、
スマートウオッチが光った。
ここが自分の席だと教えている。

私は運転手にスマートウォッチの
チケットを見せ座席が反応していることを伝えた。
運転手はそれでもバスを降りろと言っている。

私は運転手の顔を見た。
なぜ運転手だと思ったのか、不思議に感じていた。

21世紀はまだ運転手がバスを運転していた。
22世紀に入り、高速バスは全て自動運転に
なっていた。
座席もスマートウォッチと連動して、
座席の間違いや二重発行を管理していた。
なのに、私は目の前に居る人を
運転手だと認識し、決めつけている。

私はしばらく運転手とにらみ合った。


後部座席がなにやら騒がしかった

「お客様、お客様 終点ですお目覚め下さい」

何度も言っている
どうやらお客が昏睡状態らしい

やがて救急車のサイレンが聞こえてきた

ストっちゃーは入らないので
タンカが運び込まれて
乗客を外へ出すようだ

私は、一旦バスを降り
入り口付近でまっていた。

タンカがバスから出てきた。
乗客がストレッチャーに乗せられていた。
ちょっとだけ顔が見えた。
細面の少女のうように見えた。
髪の毛が白い事には驚いた。

その時
強烈な耳鳴りに襲われ、私は耳を手でふさいだ。

「お願いそのバスに乗って、私を助けに来て」

耳鳴りと共に、脳内で声がした
正確にはスマートウオッチの骨伝導が
反応したような感じだった。
私はもう一度スマートうこっちをしている手を
耳に当てた。

「お願いそのバスに乗って、私を助けにきて」
「私はアリサ、そのバスは夢の中で未来に行けるの
 あなたの夢にシンクロするは、
 お願い私をたすけて」

それだけで、あとは何も聞こえなくなった。
私は耳に手を当てたまま、しばらく動けなかった。
嫌な胸騒ぎがした。
私は今日の夜行バスで名古屋へ行くはずだった。

けれど運転手が言うように、
このバスは名古屋へは行かないらしい。

<未来か・・・>

私は心の中でつぶやいた。
もしもさっき運ばれた彼女がアリサで、
昏睡状態の理由がこのバスにあるなら、
なんとか助けてあげたい。
そんな気持ちが頭をよぎった。

一方でそんな事に関わらないで、
さっさと名古屋行のバスに、
乗ったほうがいいんじゃない。
そういう自分んも居た。
私は揺れ動く心の中で葛藤していた。

未来へ行けるバス

私はスマートウォッチが示した前から三番目の
中央の席に乗っていた。
バスはまだ発車しない。

突然スマートウォッチが光り出した。
座席がキャンセルされたようだ。

「え・・・」

私は思わず声を上げてしまった。
仕方なく、席を立とうとした時
またスマートウォッチが光った。

<10B>

スマートウォッチに通知が来た
底は先ほどアリスが昏睡状態になった席だった。
私は一瞬ためらいながら
10Bの席についた。
気が付かなかったが、夜行バスの座席は満席だった。
私はリクライニングを倒した。

「はっしゃしまぁーーす」

先ほど私とにらみ合った運転手が
バスの運転席に座り、インカムで乗客に伝えた。
やはり彼は運転手だったようだ。
ただ、このバスは自動運転ではなく、手動とう事になる。

一抹の不安を抱えながらバスは発車した。
何処へいくのか?
どうなるのか?
左隣の座席の乗客は、
アイマスク代わりのヘッドマウントをかけて
すでに夢の中のようだった。
右側の乗客も同じように夢の中にいるようだった。
私もバスに備え付けのヘッドマウントをした。

ジョイスティックを操作してメニューを選んでいく
映画や音楽LIVEなどのメニュー
星空のメニュー、睡眠などのメニューがあった。

睡眠が気になったが、睡眠の横に
<未来>のアイコンがある事に気が付いた。
私は、まだ迷っていた。

アリスと思われる少女のテレパシー、
そして助けを求める声。
頭の中でリフレインしている。
私は意を決して<未来>のボタンを押した。

仮想世界

そこは仮想世界という認識はあるが
まるで自分が歩いたり、走ったり
風を感じたり、香まで漂う空間に居る事に
気づいた。

私は特にジョイスティックを操作している
わけではなく、この世界に没頭していく
はまり込んでいく自分を感じていた。

高層ビル群の中に近未来的な
ドーム状の建物があった。
よく見ると透かし文字で
<Nagoya Station>
と書かれていた。
私が知っている名古屋駅とは違った風景だった。

何年先の未来なのかはわからない
ただこのドームは駅としてより
記念館のような形で高層ビル群の中にあった。

私はこのドーム状の駅後ともとれる建物に
入ってみる事にした。

自動回転ドアを入ると
そこはインフォメーションのようだった。
昔父と遊びに行った、
鉄道博物館を思い出させるように
SLのフォロオグラフが空中を走っていた。

気が付くと1対の案内ロボットが近づいてくる
事に気が付いた。
歩行型ではなく、タイヤがついている
旧型の案内ロボットだった。

「私はアリス・・・お客様の案内役です」

私はアリスと名乗ったそのロボットを凝視した。

「私はアリス・・・お客様の案内役です」

目の前の案内ロボットはまた同じ言葉を繰り返した。

私はどうしていいかわからずに
ただロボットを見ていた。

その時、案内ロボットが明らかに私をスキャンしている
目の光に変わった。
そして、私の左腕にはいつの間にか
スマートウォッチがまかれていた。

普段使っているものとは違う
見た事もないスマートウォッチだった。
私ははっと思い、
左手を耳に押し当てた。

すると、

「私はアリス、貴方の助けがひつようです」

案内ロボットとは違う声が聞こえてきた。

「どうすればいいの、どうしろと言うの」

私は言葉を発していた。すると

「私はアリス、私の魂は捕らわれています
 ロボットの思考回路として使われています
 どうか私の魂を解放してください」

会話がかみ合っているのかわからないまま
先ほどとは違う言葉が返ってきた。

私は迷いながらも続けた。

「だから、どうすれば貴方の魂を
 かいほうできるの?」

1分の沈黙
CPUが計算しているには遅すぎる
私がさらに言葉を発しようとした時だった。

「Nagoya Stationの地下5階に
 集中コントロール室があります
 ここのコンソールに私の魂が
 セットされています

   あなたのスマートウォッチが全ての扉
 の鍵であり、私の魂を解放する鍵にも
 なっています。

 どうか私の魂を解放してください」

そういうと私が左腕にしている
スマートウォッチから
投影がはじまった。

私がその内容を見ると
地下5階までの地図と数字が表示されていた。

表示は300からカウントダウンしているようだった。

私は2秒考えて
これが300秒である事を悟った。

「ちょっと、5分で5階まで降りて
 あなたを助けろって事」


私は走り出しながら一人で叫んでいた。

コントロールルーム

スマートウォッチの地図だと
階段を使って地下5階まで降りる事になっている。

私は階段を駆け下りた。
残り180秒

集中コントロールルームと思われる
センタコンソールには、防犯カメラの映像や
地域の気象情報、天気図まで映し出されていた。

そのモニターの一つに
アリスコントロールと示されたものがあった。
私は駆け寄って、モニターを見た。

その時、スマートウォッチも光出した。
残り59秒

モニターにはデータ移行中の文字が現れた
どうやらアリスの魂を自動でスマートウォッチに
移動しているらしかった。

スマートウォッチの300秒はあと5秒になっていた。
3秒、2秒、1秒・・0になりかけた時
アリスコントロールのモニターに
データ移行完了の文字が現れた。

私はしばらくそこへへたり込んだ。

どのくらい時間が経ったのか
私が意識を失っていたのか
気が付くと、1階の案内ロボットの前に座っていた。
ロボットはもう動いていない。

私はスマートウォッチを見た。
スマートウォッチには
<Alice complete>と表示され
次の地図が表示された。

「えーーまだなの・・・」

私は思わず口走ってしまった。
ただ今度はカウントダウンの表示は出ていない。

バスターミナル

地図が示した場所は、バスターミナルだった。
私はバスターミナルまで戻ってきた。
するとまた、スマートウォッチが光った。
どうやら今乗ってきたバスに乗れという事らしい
私がバスに乗り込むと

<10B>

のチケットが送られて来た。
私は仕方なく、<10B>の座席に座った。
なぜか不思議な感覚に襲われていた。

私は考えていた。
最初にバスに乗った時、
ヘッドマウントを掛けて未来へ行ったはず
そしてそれは仮想空間のはず。
私はアリスの魂を仮想空間で取り戻して
また、このバスに乗る事になった。
このバスも仮想空間であるはずなのに
仮想空間とは思えない程、
リアルな感覚があった。

まだ一気に5階まで駆け下りた時の息は
整っていない。

私がそんな事を考えていると
かすかな振動が伝わってきた。
どうやらバスが自動運転で出発したらしい。
今度は運転手の

「はっしゃしまぁーす」

は聞こえなかった。
私は脳と体の疲れから、
だんだんと眠気に襲われていった。

アリス

私が目覚めた時、周りが少しうるさかった。
私はヘッドマウントを外して、バスの中を観察した。
乗客は既に下車しているようだった。
バスの前方に終点という文字が光ったいた。
私はゆっくり起き上がり、バスの中を歩いていった。
その時、またスマートウオッチに地図が表示された。
そこには<Alice>という表示があった。

私はまだ仮想空間でしていた時のスマートウォッチを
している事にきがついた。

「あれ・なんでまだこれしているんだ」

私は思わず口に出していた。

私がバスを降りると、そこは
最初に私がバスに乗ったターミナルだった。
ますます頭の中は混乱しつつあった。

頭の中がスッキリしないまま
私はスマートウォッチに表示された地図の場所へ
いく事にした。

15分程歩くと、地図の場所についた。
そこは大学病院だった。
地元では最先端技術が整った病院として
有名であった。
ただ、私達は全てスマートウォッチにより
セルフメディカルチェックが
表示されるようになっているので、昔のように
病院で治療してもらう事は少なくなっていた。

私は、スマートウォッチに表示された
地図に今度は<7F>と表示された。
私は大学病院へ入り
エレベーターの案内を探した。

誰かに聞こうとしたが、大学病院の中には
誰もいなかった。
いくら
セルフメディカルチェックが進んだと言っても
大学病院に誰も居ないのはおかしい。
疑念を抱きながらも、
私はエレベーターの場所をなんとか探して
乗り込み、7番のボタンを押した。

7階に到着すると
すぐにスマートウォッチが光った。
薄暗いフロアで、同期するように7m先の部屋の
ナースコールランプが光っていた。

私はゆっくりとその部屋の前に着いた。
ドアは開いていたので、中を覗き込む。

私はハット気づいて、スマートウォッチを
している手を耳に当てた。

「私はアリス、良く来てくれたわね
 さぁ中に入って私と同期して」

私は手を耳に当てたまま、病室に入った。
そこには、高速バスから運び出された時に
少し顔が見れた、白い髪の少女が眠っていた。
体中にチューブや装置が付けられていた。

私はアリスの前に立った。

「あなたがアリス?」

その問いに、アリスは答えなかった。

「私の魂を同期して」

アリスがそういうと、アリスに付けられた
装置の一つが光だし、私のスマートウォッチと
同期しながら光りだした。

私は全身の力が抜けていくのを感じていた。
まるで私の魂をアリスが吸っているようだった。

目覚めの時

私は静かに目を覚ました。
天井はただ白い
病室のようだった。
私には沢山の装置が付けられていた。
首を少し動かしてみた。
左に45度ほど動かしたところで、私の視界に
飛び込んできたのは、バスの運転手さんだった。

私は思わず

「あ・・運転手さん」

と言葉を発した。
運転手さんは、なぜか白衣を着て
微笑んでいた。

「おかえり、アリス」

運転手さんがアリスと言った事に
私はまだ混乱していた。

「私がアリス?、じゃ私は誰?」

私はまたわけのわからない事を言った。
私はアリスと同期して
アリスになってしまったのか?
わけがわからなかった。

「あなたは運転手さんじゃないの」

私は白衣を着た運転手に尋ねた。

「僕はこの病院の医者だよ、
 そして君の父親でもある」

私はまた混乱した。
白衣の運転手は涙を流しながら
私を見ていた。

「脳波、心拍正常です」

後ろのほうで声がした。
おそらく、白衣の運転手を援助する
看護師という方だろうと私は思った。

白衣の運転手は涙をぬぐいながら
現在の状況を説明してくれた。

私は10歳の時、
大学病院でバーチャル医療に関する
研究をしていた父の研究室に遊びに行った事。

その研究室で、バーチャルゴーグルを掛けて
夢中になっているうちに、昏睡状態になり
抜け出せなくなった事。

10年間私の父がバーチャル医療の研究して
ダミープログラムにより、
もう一人の自分を作り出し、まるで現実のように
バーチャル空間の中のバーチャル空間で
魂のコアを見つける事。

その魂をバーチャル空間に作った
昏睡状態の自分へ受渡す事。
この実験を、何度も繰り返しながら
シチュエーションを変えて挑んだ事。

そして、今日その実験が成功して、
私が目覚めた事。

ただ、何度も疑似空間を漂い
ダミーの記憶と魂をの実験をしたせいで
10歳までの記憶を失っている事。

今日が私の20回目の誕生日である事

父は、時々涙を流しながら
まるで10歳の子供に言い聞かせるように
話してくれた。

私は10年間バーチャルの世界で勉強し
経験し、知識を得てきた事になる。
そして、今日、20歳の誕生日に
バーチャルの世界から、
リアルな世界へ戻ってきた。

体は10年間ねたきりだったから
まだうごかない。

「鏡がみたい」

私は声を発した。
自分の声なのか、機械の声なのかわからない
けれどハッキリ言えたはずだ。

機械を操作していた看護師さんが
小さな鏡を私の顔の前にかざしてくれた。
私は鏡の中の私を見た。

鏡の中の私は
バーチャルの世界に居たアリスとは違っていた。
10歳の時の記憶がつながろうとしているのか
少し頭が痛くなってきた。
ただ鏡に映っていた私は、栗毛色の髪を
ショートカットにし、色白だけれど
目は黒く大きな目をし
狸がやせ細ったようなやつれた顔をしていた。

私は思わず吹き出しそうになった。
それは白衣の運転手さん
そう父の顔にそっくりだったからだった。

バーチャル医療

これからますますバーチャル医療が
進むのかもしれない
けれど、魂をすり替えたり、記憶を書き換えたり
悪意に使おうとする人も出てくるだとう
私の父はそういう部分に対し
どうこの技術を守っていくのか?
どんな思いで、私の意識を取り戻すために
戦ってきたのか?
その狸がやつれた顔を見ればわかる。

私も臨床実験者として、
なんとか父の役に立つ人生、
同じ悩みで困っている人の人生に
一石を投じられればと、動かない体で考えていた。


空が明るくなりじはじめていた。
スマートウォッチはもう手首にはしていない。
首だけが少しだけ動かせる状態で、
病室から見える向かいの道路を見ていた。
一台の高速バスが過ぎていった。
今日も多くの人の希望を運んで
高速バスは運転を続けていた。

おわり

本日も最後まで読んでいただき、
ありがとうござます。
皆様に感謝いたします。

投稿にあたって

高速バスをテーマに
何か書きたいと思っていました。
高速バスで事件にまきこまれる感じが良いか?
青春ラブラブが良いか
なんとなく書き出して、物語が止っていたのですが
ひとたび水が流れ出すと
著者の意識を通り越して、近未来へ飛んでいって
しまいました。

バーチャルの中のバーチャルの中の現実
なんとも私自身理解し難い方向へ
飛んでいきました。
まぁ、フォクションですし、ファンタジーですから
嘘で塗り固めた小説であっても良いかと思い
近未来の理想みたいな部分もこめてかきました。

ひと時皆様の心に、今までとは違う
感情を生み出すことができたのであれば
今回描いたかいがあります。


サポートいただいた方へ、いつもありがとうございます。あなたが幸せになるよう最大限の応援をさせていただきます。