見出し画像

元彼は宇宙人と思うべし~花子の場合~

何を血迷ったか、元彼とご飯に行くことになった。

きっかけはあっちからの何気ない連絡。
こういうのってザオラル臭くなくはないけど、あたしも暇だったし久々に異性と出かけてみたいって思ってしまった。

別にデートじゃないけど、メイクや服選びも楽しめたし、待ち合わせにソワソワするっていうのもいいよね。
こういう感覚は本当に久しぶりで、それだけで満足してたんだけど、ほんとそれだけで終わればよかった、と思うのは後の祭り。

指定してきた待ち合わせ場所に少し遅れて来た元彼は、謝りもせず直ぐに「行こうか」って先を歩き出したので、「あ、うん」と後を追う。
この時点ですでに違和感は感じてたけど、心は楽しめるかもという期待がまだあった。

元彼の横に追いつき、並んで歩きながら「どこに行くの?」と店を聞くと、「ああいう雰囲気の店、お前、好きだと思う」と連れられて行ったのは大衆居酒屋。しかもガヤガヤタイプ。まぁ辛うじて若者に人気そうなオリジナルコンセプトはあります的なお店ではあるけども。

えっと、一緒に外食なんて何っ年もしてなかったのに、あたしが好むって?どこのナニ情報?
てか、付き合っていた時だって自分が食べたい物、行きたい店にしか行ったことなかったよね。
いや、別に付き合ってないしデートでもないからいいんだよ、「自分が食べたい店」と言ってくれれば。なんでちょっとこちらに気配りしてますみたいなの醸し出すわけ?あのセリフはなんなんだ?
そして別に好みでもないし、昔も一言もこんなのが好きとは言ったことないよ?

頭ではそんな突っ込みを巡らせながら、まぁお腹も空いたし、食べて飲んでお喋りすれば楽しめるかも、せっかく久々に会ったんだし!と気を取り直す。

でも、ガヤガヤ騒がしい店内では話声は聞こえにくいし、元彼の聞いてもない自分発信の話の内容は、この店に他の女の子と来た時に、どれが美味しいと言って飲んでいた、とか、たくさん食べる子で、だとかばかり。
必要のない情報にあたしは「そうなんだ・・・」と興味もそこから会話を膨らませる気も当然なく。そんな話を片耳にただ料理を頼み食べて飲んで、お互いお腹がいっぱいになった頃に、どちらともなく「そろそろ出る?」って感じでお開きに。

待ち合わせた所まで一緒に歩いている間、お店でとくに実のある会話もしてないのに、お互いネタ切れた感じで無言。
元の場所に戻った来たところで、「じゃあ、俺こっちだから、お疲れ」「あ、うん、お疲れ」と、次の約束的なのも余韻すらもなく解散。

帰路に着きながら、ああ、こういう奴だったわ、と過去を思い出した。「なんで忘れてたかな・・・時間が経つってこわい」

その後、元彼からは連絡もない。記憶を取り戻した今のあたしは、誘われても断るけどね。フト、結局なんで誘われたんだろ・・・と元彼のSNSを見てみたら、誰か(女であることは間違いないな)とお出かけした投稿や、ご飯に行った写真が並んでた。
「オシャレなお店に行ってるじゃん・・・」スマホを閉じ、ベッドに寝転がる。

面倒がってたけど、そろそろ婚活か彼活しないと自分が腐る気がした。
・・・明日からがんばろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?