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お受験恋愛~花子の場合~

窓口の広さと高難易度な試験、それがマッチングアプリだと思う。

今の時代だからなのか、このご時世だからか・・・周りで利用している人が、少し前に比べてすごく増えて、職場でもけっこうみんな利用してるみたい。

世間的に認知されたというか、お見合いと同じくらいの感覚で捉えてもらえる出会い方になったんだなー。
・・・ほんの少し前までは、カップルとして成立しても、その出会いのエピソードは「友人の紹介で」なーんて定番フレーズで隠していたのに。

そんな他人ごとのように、後輩の最近アプリで知り合った人の話を聞いてたら、
「先輩もやった方がいいですよ、出会いなんてないんですから!!」
と言われた、

・・・から始めてみた、なんて保身?みたいだなと思った。

始めるきっかけや理由を探すのは、古い考え方なのかプライドのせいなのか。とりあえず、興味があったのでやってみた、でいいじゃないか。

でも始めてすぐ、お相手探しなんて目的はスッカリ忘れ去り。

―顔写真載せないって何なの?お金まで払って出会い探してるんでしょ?何を隠そうとしてるの?てかプロフィールのステータスだけでいけるとでも?よっぽどのコミュ力に自信がある?顔見せなくてもやりとりだけで興味も好意も持たせられるんだ?そんならこんなとこで探さなくても見つかるでしょ。
「普段の生活では出会いがないので」という枕詞みたいなのが通用するのはある程度ルックスがある人のみだということもお忘れなく―

・・・エトセトラ。
もう出るわ、出るわの突っ込み処の宝庫。


出会い系サイトあるあるのひとつ、外国人。
親のどちらかが日本人で、現在は日本へ仕事をしに来ている外国の方(という設定だろう)が、片言の日本語で熱烈なメッセージでやりとり始めた直ぐに個人的な連絡ツールに移行しようとするのは、あきらか目的が商業臭い。
・・・と思ったら、数日後、アカウントが消えているパターン。

本来の目的とは違う楽しみを発見しながらも、何人かとマッチングして、アプリ内でメッセージのやりとりをした人もいたけど、あたしの簡素なプロフィールと、少しばかりのやりとりで「ものすごく気が合うと思う」と絶賛される違和感や、価値観や人柄を簡単に把握した気になられる嫌悪感に襲われ。

なんだ、なんか、無理だわ。

きっと差し障りのない、それでもって好感を持たれやすい言葉を並べたやりとりをある程度続けて、会う約束にこぎつけ、会ってから個人的な連絡先を交換・・・というような定番の流れにしたいんだろうけど、そんなところにたどり着くことは、あたしの中ではありえない。

ちっとも心が動かないやりとり、魅力を感じることのないプロフィール写真・・・次第に面倒くさくなってメッセージにも返信しなくなった。

このまま自分のアカウントが残ったまま放置するのも気持ち悪いので、退会、と。

始めて一週間、まぁまだ続いた方じゃないかな。

誰も騙そうとしたわけじゃないけど、これじゃ商業目的の外国人となんら変わりないか。少し後味は悪い。だけどダラダラ続ける方が失礼だ、なんていったところで、やりとりの場から突如消え去った自分は、からかわれた、と相手に思われても仕方ないが。


アプリを使うことで、出会いを探す行動に気軽さはあるけど、その分、少ない情報の中で相手を見極めようとして選別が厳しくなる。
そうなれば入り口は広いのに出口が狭き門、結局、何も進展せず終わる率高し。
しかも、直接会っていない分、相手の情報、つまり自分が相手へアピールするものがプロフィール情報のみ(写真含む)になる。

メリットは、直接だと聞きにくいが本当は早めに確認しておきたい、相手の職業、年収、家族構成、子供についての考えなどが前もってわかること。
結婚を考えて出会いを求めている人なら、重要なことだよね。

デメリットは、凝り固まったイメージを勝手に持ってしまいやすいこと。
会って交流して話をすれば問題にならないかもしれないことも、最初に与えられた情報による偏見で、可能性が失われることだってあると思う。


窓口の広さと高難易度な試験・・・
誰でも選ぶことができるけど、選ばれる立場でもある。

それはきっと出会い系アプリでなくても同じなのだけど、アプリがないと選ぶ相手すらいないし、一体誰があたしを見つけてくれるんだろう。

退会した後、フトそんな侘しさに苛まれた。


「先輩、どうですか?良い感じの人とマッチできました?」
しばらく経った日の朝、職場で後輩が挨拶がてらに聞いてきた。

「いや、退会した」

「はやっ・・・そうですかーまたいつでも再開できますよ!」
そういって後輩は、自分のデスクに座り、始業の準備を始めた。

後で聞いた話によると、彼氏ができたらし、アプリではない。

・・・もうアプリはやるまい。

多分。

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